小川と上田は同じ東京五輪世代で、両者は切磋琢磨してきた関係になる。アンダー代表からエース候補として期待された小川が怪我も含めて壁にあたり、少し遅れて伸びてきた上田が大学経由で東京五輪のメンバー入り。さらにベルギー移籍からA代表定着、カタールW杯に出場とステップアップしてきたのとは対照的に、小川は東京五輪から外れ、J２も経験しながら這い上がってきた。

　昨年は26ゴールでJ２得点王を獲得し、横浜FCのJ１昇格に大きく貢献した。そこからJ１でも存在感あるプレーと結果を残してのオランダ移籍。26歳で欧州挑戦は早くないが、NECでいきなり１トップを任されて、すでに２得点を記録している。

　１歳年下で、ベルギーで結果を残してオランダ王者に加入した上田について、小川は「彼はオランダのチャンピオンのチームに入ってるんで、そこでの競争というのはもちろん凄いものがあると思う」と語るが、日本代表のエースストライカーは自分の居場所と言い切る小川は、それが「今じゃない」ことも自覚しており、自分に矢印を向けて、NECで結果を残し続けることにフォーカスしている。
 

　上田はフェイエノールトで４試合目にして移籍後初ゴールを決めたが、代表活動で「別に焦っているわけじゃないですけど、段階があると思うんで。今、自分が吸収したり、成長できるところを全部吸収して、使ってもらえるように常に準備している」と語っていた。

　そこからドイツ戦で「やっとチームに貢献できた」と振り返る決勝ゴールを挙げた上田には、エールディビジや初挑戦となるチャンピオンズリーグでも期待が掛かる。代表活動を怪我で離脱し、筋肉系の痛みで数週間、離脱する見込みだが、良い感触を復帰後の活躍に繋げていってもらいたい。

取材・文●河治良幸

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