カズのエピソードを伝える
グループステージで敗退した要因はいくつもある。だが、少なくとも“本物の経験”をできなかった点が影響しているのは否めない。とはいえ、経験値という言葉に全てを集約させてしまうのもまた違う。
イスラエルに敗れた翌日、午前中にリカバリートレーニングをした際に、冨樫監督は自身の体験談を踏まえて話をした。三浦知良(UDオリヴェイレンセ)についてのエピソードである。
現役時代にヴェルディ川崎(現・東京ヴェルディ)でプレーしていた冨樫監督は、0-5で敗れた試合の後にチームメイトであるカズの家に泊まらせてもらったという。次の日はゆっくりしようと考えていたそうだが、翌朝5時に起こされた。
「ボールを蹴りに行こう」
「練習に行くぞ」
勝っても負けても関係ない。サッカー選手として、貪欲に上を目ざす姿勢を見せつけられ、冨樫監督はハッとしたという。昔話をした理由について、指揮官はこう話す。
「あの時点では、突破できるか決まっていなかった。だから、ここで緩ませることもできる。もしかしたら、次の試合を考えていた選手もいるかもしれない。でも、1人のサッカー選手としてどうするかを考えた際、『別に次があろうがなかろうが、カズさんはこうだった』という話をした。
あの時の自分は逆だったから、ダメだったという話を彼らにしたんです。いまだにカズさんは代表発表の時にドキドキするんだ、そんな選手はいないだろう?って。自分もいろんな選手に携わってきた。代表に選ばれた選手は小さい頃からそうで、本当にサッカーボールを触って生きている。1対1をやって、ボール回しをやって、ミニゲームをやって。そんな環境で僕は育ってきた。
それが当たり前で、誰かに何かを言われてサッカーをしたこともないし、殴られたこともないし、罰走もさせられたこともない。僕は彼らの育ってきた環境は分からないけど、サッカーをここまで続けている理由はあるという話を最初にしました」
イスラエルに敗れた翌日、午前中にリカバリートレーニングをした際に、冨樫監督は自身の体験談を踏まえて話をした。三浦知良(UDオリヴェイレンセ)についてのエピソードである。
現役時代にヴェルディ川崎(現・東京ヴェルディ)でプレーしていた冨樫監督は、0-5で敗れた試合の後にチームメイトであるカズの家に泊まらせてもらったという。次の日はゆっくりしようと考えていたそうだが、翌朝5時に起こされた。
「ボールを蹴りに行こう」
「練習に行くぞ」
勝っても負けても関係ない。サッカー選手として、貪欲に上を目ざす姿勢を見せつけられ、冨樫監督はハッとしたという。昔話をした理由について、指揮官はこう話す。
「あの時点では、突破できるか決まっていなかった。だから、ここで緩ませることもできる。もしかしたら、次の試合を考えていた選手もいるかもしれない。でも、1人のサッカー選手としてどうするかを考えた際、『別に次があろうがなかろうが、カズさんはこうだった』という話をした。
あの時の自分は逆だったから、ダメだったという話を彼らにしたんです。いまだにカズさんは代表発表の時にドキドキするんだ、そんな選手はいないだろう?って。自分もいろんな選手に携わってきた。代表に選ばれた選手は小さい頃からそうで、本当にサッカーボールを触って生きている。1対1をやって、ボール回しをやって、ミニゲームをやって。そんな環境で僕は育ってきた。
それが当たり前で、誰かに何かを言われてサッカーをしたこともないし、殴られたこともないし、罰走もさせられたこともない。僕は彼らの育ってきた環境は分からないけど、サッカーをここまで続けている理由はあるという話を最初にしました」
実際に、1年4か月の活動で選手たちは成長した。しかし、どんな状況でも自分に矢印を向けられていたのだろうか。本気で世界と戦うために、やれることをやったのか。悔いはないのか。試合に出られず、腐ったりしていないか。国を懸けた本気の戦いを通じて、選手たちは感じとったものがあるはずだ。
28日の練習後、数名の選手がスタッフとともにウルグアイ対チュニジアの会場に姿を見せた。このカードの結果次第で3位抜けの可能性が潰えるなか、それぞれ想いを抱えながら試合を見ていたに違いない。結果として、ウルグアイが勝利。日本の敗退が決まった。
今大会は2001年大会以来となるグループステージ敗退に終わった。世界を勝ち抜くのは簡単ではない。メディアも含め、改めて厳しさを思い知らされた。
U−20世代にも海外組が増えて期待感もあったが、現実は甘くない。W杯で味わった屈辱が成長の糧になるか否か。強烈な体験はきっと選手たちの財産になる。
取材・文●松尾祐希(サッカーライター)
【PHOTO】日本代表を応援する麗しき「美女サポーター」たちを一挙紹介!
28日の練習後、数名の選手がスタッフとともにウルグアイ対チュニジアの会場に姿を見せた。このカードの結果次第で3位抜けの可能性が潰えるなか、それぞれ想いを抱えながら試合を見ていたに違いない。結果として、ウルグアイが勝利。日本の敗退が決まった。
今大会は2001年大会以来となるグループステージ敗退に終わった。世界を勝ち抜くのは簡単ではない。メディアも含め、改めて厳しさを思い知らされた。
U−20世代にも海外組が増えて期待感もあったが、現実は甘くない。W杯で味わった屈辱が成長の糧になるか否か。強烈な体験はきっと選手たちの財産になる。
取材・文●松尾祐希(サッカーライター)
【PHOTO】日本代表を応援する麗しき「美女サポーター」たちを一挙紹介!