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【セリエA現地コラム】首位攻防戦で痛恨の退場を食らった長友。イタリアにおける「ファウルの使い方」とは?

カテゴリ:連載・コラム

片野道郎

2015年12月02日

退場するまでのパフォーマンスは決して悪くなかった。

マンチーニ監督はナポリ戦の長友について、「最初の警告はカジェホンがシミュレーションをしたのは明らかだった。2枚目は長友が軽率だった」との見解を示した。(C)Getty Images

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 ただし、この二度のファウルを除けば、前半を通しての長友のパフォーマンスは、決してネガティブなものではなかった。
 
 右サイドでSBのエルサイド・ヒサイ、インサイドハーフのアラン、そしてウイングのカジェホンという3人の「チェーン」が連携してワンタッチ、ツータッチの素早いパス交換でサイドを抉りにきたナポリに対し、インテルはヒサイとマッチアップするアデム・リャイッチの守備参加が少なく、フレディ・グアリンと長友が局地的な数的不利に陥って後手に回る場面が少なくなかった。
 
 しかしその中で長友は状況を先読みしてパスコースを切ったり、素早い戻りでクロスをブロックしたりするなど、活発な動きと的確な判断で被害を最小限に抑えていた。攻撃における貢献度は高いとは言えなかったものの、守備に関しては及第点以上のパフォーマンスを見せていた。
 
 現在のインテルにおいて、SBに求められるのは第一に守備力だ。長友が攻撃力では明らかに上を行くアレックス・テレスをベンチに追いやって出場機会を掴んでいるのも、献身的に奔走する守備での貢献が評価されているゆえだろう。それだけに、退場をもたらした「軽率さ」が惜しまれるのだが……。
 
 長友とインテルの契約は今シーズン末で満了する。今のところクラブから延長のオファーは提示されておらず、このままいけば年明けの1月からは、他のクラブと交渉し、来シーズンからの契約にサインすることが可能になる。
 
 しかし、本人の希望はもちろんインテル残留だろう。ここ数試合で好パフォーマンスを見せたため、マスコミからは契約延長の可能性をめぐる報道も出始めている。
 
 今回のアクシデントを糧として、与えられたチャンスをものにしていけば、来シーズン以降もネラッズーロ(インテルの愛称)のシャツを来てプレーする可能性が広がってくるはずだ。
 
文:片野道郎
 
【著者プロフィール】
片野道郎/1962年生まれ、仙台市出身。95年からイタリア北部のアレッサンドリアに在住し、翻訳家兼ジャーナリストとして精力的に活動中。カルチョを文化として捉え、その営みを巡ってのフィールドワークを継続発展させる。『ワールドサッカーダイジェスト』では、現役監督のロベルト・ロッシ氏とのコラボによる戦術解説や選手分析が好評を博している。
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