【浦和】約7か月のリハビリを経て実戦復帰。CS制覇への切り札・石原を待つドラマ

カテゴリ:Jリーグ

轡田哲朗

2015年11月19日

「おかえりは、ゴールを決めてから」。ビッグマッチが続く終盤戦に、石原は闘志を燃やす。

11月11日の天皇杯・町田戦に出場した石原の状態は、100パーセントではないながらも確実に上がってきている。写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

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 いつしか夏が終わり、本格的な秋になっていた10月18日、日本体育大学とのトレーニングマッチで石原は実戦復帰した。75分過ぎに途中出場した後のファーストタッチは、橋本からのパスを負傷した右足でトラップしたプレーだった。

 その瞬間、相手DFが背後から石原に乗りかかるような体勢になり、両足で踏ん張ってボールをキープした。見ていて「ドキッ」とした。自分の体重を超える重さが掛かっていたからだ。そんな心配をよそに、石原は平然とプレーした。試合終了間際には、数日前には「まだ怖い」と言っていた右足でのシュートも放っていた。

 試合後、最初のワンプレーについて聞いてみた。答は、逆に大きな手応えになったというものだった。

「相手が来ると思っていたから身体が反応した。それで『どれくらい耐えられるか』とは思いましたけど、思ったよりもバランスを取れて、良い確認になりましたね」

 それからは、紅白戦を基本に練習を組み立てるペトロヴィッチ監督のトレーニングにも完全合流し、プレーを続けている。公式戦への復帰も果たした今では、石原の長所である、ゴール前で届かなそうなボールに対して足が伸びるプレー、身体を伸ばしてゴールをねじ込むプレーも戻ってきた。100パーセントではないながらも、状態は確実に上がってきている。

 宇賀神は「これまで、試合に行く前に必ず『ナオくん(石原)がおいしいところを持っていけるようにするから』と、声を掛けてきた。その状況も作れたし、そうなってくれたら嬉しい」と語る。背番号11の復帰は、チームメートにも勇気を与えている。

 復帰戦となった天皇杯ラウンド16の勝利で、浦和の今シーズンは少なくとも12月26日の準々決勝まで続くことになった。11月末から12月にかけての試合は、すべてがタイトルに近いところにあるビッグマッチだ。勝負どころで、石原が試合を決めるようなドラマも待っているかもしれない。

「おかえりは、ゴールを決めてからですね」

 そう話す石原に、「おかえり」という言葉を掛けられる日も近いはずだ。
 
取材・文:轡田哲朗(フリーライター)
 
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