順調に進んだリハビリ。野崎トレーナーは「精神的に安定していたことが大きい」
その間に、チームは第1ステージを無敗で優勝した。同じ前線のポジションで新加入した武藤は大ブレイクし、日本代表に選ばれるまでにもなった。それでも、石原は焦ることなく冷静にリハビリを続けていた。その過程をチームの野崎アスレティックトレーナーはこう話している。
「この怪我をした選手で、僕が受け持ったなかではトップ3に入るくらい順調に進んできました。なによりも、精神的に安定していたことが大きいですね。非常に自分が分かる選手で、冷静です。どういう動きをしたら、どんな反応が出たということを誤魔化すことなく伝えてくれていました。復帰への道のりは、順調だったと言えると思いますよ」
怪我の大きさと、相反するような精神的な安定性。リハビリに臨んでいた時の心境を石原はこう語る。
「なんで? とは思いましたね。けど、やってしまったのは仕方ないというか。逆に、タイミング的には良かったかなと。シーズン終わりとか、2年目とか、馴染んできてからよりも、まだ移籍してすぐだったので、これから巻き返せるという気持ちもある。怪我をしたこと自体は良くなかったけど、タイミングはそのなかでも良かったんじゃないかな。
さすがにすぐに素直になれたわけではないけど、手術をすると決めてから焦りは無かったですね。なにしろ、戦えない身体だったので。焦ってもなにもできないというのが自分では分かっていたし。ピッチに立つレベルではなかったから、治ってからという気持ちにコントロールできましたね」
チームメートも、焦らずに懸命なリハビリを続ける石原のことを気に掛けていた。大宮時代にもチームメートだった青木は石原と同郷。群馬県の高崎市立乗附小学校に石原が6年生、青木が1年生として重なったことがあるほどに家も近所だった。それだけに、「普通よりも気になっていたのは間違いない」と話す。
「大宮の時に話していて、『まさか』というほど家が近かったんですけどね。無理はしてほしくないと思って見ていました。万全な状態で戻ってきてほしいと。良い状態になれば、チームの大きな力になることは間違いないですからね。大宮でも3年間一緒にプレーして、良さは分かっているつもり。待っているって気持ちがありましたね」
野崎トレーナーやチームスタッフ、チームメートに見守られているなか、石原が芝生の上に姿を見せたのは9月末だった。トレーニングシューズから、リハビリ用のポイントの多いスパイク、試合と同じスパイクと、足下を見ても復帰の過程が分かった。
ただ、ある時にこんなことがあったという。
クラブハウスからピッチに出る前に、スパイクを履こうとした時だ。石原は、チームスタッフにこんなことをつぶやいたという。
「これ、怪我した時のスパイクなんだよなあ……」
そう言いながら、そのスパイクを履いてピッチに出て行ったそうだ。石原にそのことを尋ねると「別に、スパイクのせいで怪我したわけじゃないから。逆に、それを履いて復活してやろうというくらいの気持ちがありますよ」と笑った。まさに、過去を受け入れて乗り越えてやろうという気概の表われなのかもしれない。
「この怪我をした選手で、僕が受け持ったなかではトップ3に入るくらい順調に進んできました。なによりも、精神的に安定していたことが大きいですね。非常に自分が分かる選手で、冷静です。どういう動きをしたら、どんな反応が出たということを誤魔化すことなく伝えてくれていました。復帰への道のりは、順調だったと言えると思いますよ」
怪我の大きさと、相反するような精神的な安定性。リハビリに臨んでいた時の心境を石原はこう語る。
「なんで? とは思いましたね。けど、やってしまったのは仕方ないというか。逆に、タイミング的には良かったかなと。シーズン終わりとか、2年目とか、馴染んできてからよりも、まだ移籍してすぐだったので、これから巻き返せるという気持ちもある。怪我をしたこと自体は良くなかったけど、タイミングはそのなかでも良かったんじゃないかな。
さすがにすぐに素直になれたわけではないけど、手術をすると決めてから焦りは無かったですね。なにしろ、戦えない身体だったので。焦ってもなにもできないというのが自分では分かっていたし。ピッチに立つレベルではなかったから、治ってからという気持ちにコントロールできましたね」
チームメートも、焦らずに懸命なリハビリを続ける石原のことを気に掛けていた。大宮時代にもチームメートだった青木は石原と同郷。群馬県の高崎市立乗附小学校に石原が6年生、青木が1年生として重なったことがあるほどに家も近所だった。それだけに、「普通よりも気になっていたのは間違いない」と話す。
「大宮の時に話していて、『まさか』というほど家が近かったんですけどね。無理はしてほしくないと思って見ていました。万全な状態で戻ってきてほしいと。良い状態になれば、チームの大きな力になることは間違いないですからね。大宮でも3年間一緒にプレーして、良さは分かっているつもり。待っているって気持ちがありましたね」
野崎トレーナーやチームスタッフ、チームメートに見守られているなか、石原が芝生の上に姿を見せたのは9月末だった。トレーニングシューズから、リハビリ用のポイントの多いスパイク、試合と同じスパイクと、足下を見ても復帰の過程が分かった。
ただ、ある時にこんなことがあったという。
クラブハウスからピッチに出る前に、スパイクを履こうとした時だ。石原は、チームスタッフにこんなことをつぶやいたという。
「これ、怪我した時のスパイクなんだよなあ……」
そう言いながら、そのスパイクを履いてピッチに出て行ったそうだ。石原にそのことを尋ねると「別に、スパイクのせいで怪我したわけじゃないから。逆に、それを履いて復活してやろうというくらいの気持ちがありますよ」と笑った。まさに、過去を受け入れて乗り越えてやろうという気概の表われなのかもしれない。