さすがのイブラヒモビッチもカタール首長には…。
そのガッリアーニに加えて、オーナーのベルルスコーニも今夏に一番強く望んでいたのは、ズラタン・イブラヒモビッチの呼び戻しだった。
しかしこれは、端から実現の可能性がきわめて低かった。実現するとすれば、イブラヒモビッチとパリSGが完全に決裂した場合だけだっただろう。
しかし、さしものイブラヒモビッチにも、パリSGのオーナーであるカタール首長のタミム・ビン・ハマド・サーニと事を構えるだけの勇気はなかったようだ。
昨シーズン終了直後の6月、イブラヒモビッチは復帰を求めるベルルスコーニとガッリアーニに対して前向きな姿勢を示し、自らカタールまで飛んでオーナーとミラン行きの直談判をしようと試みた。
しかしタミム首長は、「もし何か問題があるのなら解決しよう」、「もっと年俸を上げてほしいならそれでも問題ない」という鷹揚な対応に終始。望むものをすべて与えてもらっているイブラヒモビッチに、あえてパリSGを去ってミランに復帰したいと強く出るだけの理由がなかったのは当然のことだ
今後を考えても、イブラヒモビッチがイタリアに戻ってプレーする可能性はないように見える。むしろ、来年6月に切れるパリSGとの契約を延長してフランスでのプレーを続けるか、あるいはタミン首長との関係を保ってカタール・リーグに行く可能性のほうがずっと高い。それ以外に考えられるのはMLS行きくらいだろう。
文:ジャンルカ・ディ・マルツィオ
翻訳:片野道郎
※ワールドサッカーダイジェスト2015.10.15号より加筆・修正
【今だから言える15年夏の超極秘話①】ポグバ移籍は実現の可能性が十分にあった!
【今だから言える15年夏の超極秘話②】補強失敗を受けてモウリーニョとアブラモビッチの間にヒビが?
【今だから言える15年夏の超極秘話③】ユーベがシケイラを捨ててA・サンドロを獲った舞台裏
【今だから言える15年夏の超極秘話④】なぜ、ユーベはドラクスラーを獲り逃がしたのか?
【今だから言える15年夏の超極秘話⑤】経緯も契約内容も前代未聞だったバロテッリのミラン復帰劇
【今だから言える15年夏の超極秘話⑥】ソリアーノとデ・ヘアの移籍が土壇場で流れた理由
【著者プロフィール】
Gianluca DI MARZIO / SKY ITALIA
ジャンルカ・ディ・マルツィオ
1974年3月28日、ナポリ近郊の町に生まれる。父は70~90年代にナポリ、ジェノア、レッチェなどで監督を歴任し、現在はTVコメンテーターのジャンニ・ディ・マルツィオ。選手としては才能に恵まれず、ジャーナリストを志し、パドバ大学在学中の94年に地元のTV局でキャリアをスタート。04年から『スカイ・イタリア』に所属する。父を通して得た人脈を活かしてカルチョの世界に広いネットワークを築き、移籍マーケットの専門記者という独自のフィールドを開拓。この分野ではイタリアの第一人者で、13年1月にグアルディオラのバイエルン入りをスクープしてからは、他の欧州諸国でも注目を集めている。
しかしこれは、端から実現の可能性がきわめて低かった。実現するとすれば、イブラヒモビッチとパリSGが完全に決裂した場合だけだっただろう。
しかし、さしものイブラヒモビッチにも、パリSGのオーナーであるカタール首長のタミム・ビン・ハマド・サーニと事を構えるだけの勇気はなかったようだ。
昨シーズン終了直後の6月、イブラヒモビッチは復帰を求めるベルルスコーニとガッリアーニに対して前向きな姿勢を示し、自らカタールまで飛んでオーナーとミラン行きの直談判をしようと試みた。
しかしタミム首長は、「もし何か問題があるのなら解決しよう」、「もっと年俸を上げてほしいならそれでも問題ない」という鷹揚な対応に終始。望むものをすべて与えてもらっているイブラヒモビッチに、あえてパリSGを去ってミランに復帰したいと強く出るだけの理由がなかったのは当然のことだ
今後を考えても、イブラヒモビッチがイタリアに戻ってプレーする可能性はないように見える。むしろ、来年6月に切れるパリSGとの契約を延長してフランスでのプレーを続けるか、あるいはタミン首長との関係を保ってカタール・リーグに行く可能性のほうがずっと高い。それ以外に考えられるのはMLS行きくらいだろう。
文:ジャンルカ・ディ・マルツィオ
翻訳:片野道郎
※ワールドサッカーダイジェスト2015.10.15号より加筆・修正
【今だから言える15年夏の超極秘話①】ポグバ移籍は実現の可能性が十分にあった!
【今だから言える15年夏の超極秘話②】補強失敗を受けてモウリーニョとアブラモビッチの間にヒビが?
【今だから言える15年夏の超極秘話③】ユーベがシケイラを捨ててA・サンドロを獲った舞台裏
【今だから言える15年夏の超極秘話④】なぜ、ユーベはドラクスラーを獲り逃がしたのか?
【今だから言える15年夏の超極秘話⑤】経緯も契約内容も前代未聞だったバロテッリのミラン復帰劇
【今だから言える15年夏の超極秘話⑥】ソリアーノとデ・ヘアの移籍が土壇場で流れた理由
【著者プロフィール】
Gianluca DI MARZIO / SKY ITALIA
ジャンルカ・ディ・マルツィオ
1974年3月28日、ナポリ近郊の町に生まれる。父は70~90年代にナポリ、ジェノア、レッチェなどで監督を歴任し、現在はTVコメンテーターのジャンニ・ディ・マルツィオ。選手としては才能に恵まれず、ジャーナリストを志し、パドバ大学在学中の94年に地元のTV局でキャリアをスタート。04年から『スカイ・イタリア』に所属する。父を通して得た人脈を活かしてカルチョの世界に広いネットワークを築き、移籍マーケットの専門記者という独自のフィールドを開拓。この分野ではイタリアの第一人者で、13年1月にグアルディオラのバイエルン入りをスクープしてからは、他の欧州諸国でも注目を集めている。