サッカーは美しさを競うものではない。
「汚いボール」とは、スペースに弾むロングボールのことだ。
湘南はJリーグで恐らくもっとも最終ラインが高いチームであり、GK秋元とアンドレ・バイアの間には広大なスペースが横たわる。松本はオビナに当てず、そのスペースにボールを蹴り込んだ。
汚いボールには、ふたつの種類がある。
ひとつは長めのボール。
GK秋元がペナルティエリアを出て、難しい体勢でクリアするしかないようなロングボールを蹴り込み、そこにオビナや工藤が猛然とプレッシャーをかける。
もうひとつは高めのボール。
地面に大きく弾んだボールは、ダイレクトのボールに比べて、DFにとっては処理が難しい。落下地点で待つのではなく、弾んだところに走り込まなければならないし、空中で競り勝ってもボールの勢いが殺されているため大きくクリアできないからだ。
巨漢のオビナが弾んでいるところに強引に身体を入れ、その間に2列目が援軍に駆けつける。そうした形で何度も湘南をトラブルに巻き込んだ。
サッカーは美しさを競うものではない。
ゴールが遠ければ、その距離を有効活用すればいい。
松本が見せた「汚いボール」、それはサッカーの奥深さ、面白さを改めて教えた。
取材・文:熊崎 敬
湘南はJリーグで恐らくもっとも最終ラインが高いチームであり、GK秋元とアンドレ・バイアの間には広大なスペースが横たわる。松本はオビナに当てず、そのスペースにボールを蹴り込んだ。
汚いボールには、ふたつの種類がある。
ひとつは長めのボール。
GK秋元がペナルティエリアを出て、難しい体勢でクリアするしかないようなロングボールを蹴り込み、そこにオビナや工藤が猛然とプレッシャーをかける。
もうひとつは高めのボール。
地面に大きく弾んだボールは、ダイレクトのボールに比べて、DFにとっては処理が難しい。落下地点で待つのではなく、弾んだところに走り込まなければならないし、空中で競り勝ってもボールの勢いが殺されているため大きくクリアできないからだ。
巨漢のオビナが弾んでいるところに強引に身体を入れ、その間に2列目が援軍に駆けつける。そうした形で何度も湘南をトラブルに巻き込んだ。
サッカーは美しさを競うものではない。
ゴールが遠ければ、その距離を有効活用すればいい。
松本が見せた「汚いボール」、それはサッカーの奥深さ、面白さを改めて教えた。
取材・文:熊崎 敬