岡崎が戦術の犠牲者になっているとの見方もできる。

「自分は裏を狙ったり、大きく動くタイプ」と語る岡崎(9番)。2ゴールを決めたとはいえ、前半は良い形でシュートを打てず、本領を十分に発揮できなかった。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)
【中央|「難しさを感じる」岡崎のジレンマ】
アフガニスタンが引いてきたこともあり、文字通りの中央突破はほとんどなかった。サイドからの崩しがベースで、あえて中央部を避けていた。
CFの岡崎は引いて受けるというよりも最前線で構え、トップ下の香川もサイドに流れるようなポジション取りという状況で、中央部から攻撃に変化を付けようとしていたのがCBの森重だった。
敵DFの後方へのロビングを狙ったり、チャンスと見るや自らドリブルで持ち上がってミドルを放つ(1本はバーに直撃した)積極性は引いた相手に有効だった。
もうひとりのCB吉田が最後尾でリスク管理し、森重がリベロのように振る舞うやり方はアフガニスタン戦に限って言えば上手くハマった。
ボランチの長谷部で印象に残っているのが、8分のボレーシュート。原口、長友、本田とつないだボールに合わせた場面では、その走り込みが絶妙だった。
成功率はともかく、バイタルエリアで縦パスを試みる意識もあった。目に見える結果こそ残せなかったが、そうしたチャレンジが今後の代表戦に活きてくるかもしれない。
最前線の岡崎に関しては、「微妙」のひと言。勝負が決した後の2ゴールよりも、前半に良い形でシュートを打てていなかった点が気になった。当人もこんなコメントを残している。
「自分は裏を狙ったり、大きく動くタイプです。なので、1トップとして窮屈な場所で戦わなければいけないのは大変。スペースのないところでどう動くのかを今まではやって来なかったから、その難しさを感じています」
活動期間が限られた代表戦でクラブとは違う役割を任されると、本領を発揮できない時が往々にしてある。今の岡崎がまさにそうで、戦術の犠牲者になっているとの見方もできる。
とはいえ、岡崎以上のCFがいるかと言われれば……。岡崎をCFのファーストチョイスにするなら、放り込みに近いクロスだけではなく彼の俊敏性を活かした手段も考えるべきだが、今後、ハリルホジッチ監督が岡崎の他に誰をCFとして招集するか興味深い。
取材・文:白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)