監督がいるのに指導しない? 北関東大学リーグ2部で戦う文教大の“育成”が興味深い

カテゴリ:大学

志水麗鑑(サッカーダイジェスト)

2022年06月27日

興味深く映った右サイドの4年生コンビ

右サイドハーフの工藤(7番)と右SBの芦澤。4年生コンビが支える右サイドから貴重なゴール目が生まれた。

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 それにしても感心したのは、主将の大塚と副主将の長島がサブに回り、出場時間が少なかった選手たちにチャンスを与えた決断だ。選手選考の権利が委ねられた学生には利己的な考えが一切なかった。大塚キャプテンは言う。

「僕も一選手なので対等な立場です。なので試合に出られていないメンバーも納得できる選手選考を心がけています。副主将ふたりとも話し合い、群馬大戦のスタメンを決めました」

 チームの成長を第一優先に考えているからこそのコメントであり、「フォア・ザ・チーム」の精神は他の選手たちにも波及している。試合の記録、写真&映像の撮影……など、分担して各々が自主的に活動している様は印象的で、「学生主体」のチーム作りが機能しているのはハッキリと分かった。

「学生主体」のチーム体制を発案した藤原監督(文教大付高出身)。選手たちの意見を尊重する姿勢が印象的だった。

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 もうひとつ、晴天の文教大グラウンドで興味深く映ったのは、就職活動を終えてチームに復帰した4年生のDF芦澤一生(花咲徳栄高出身)とMF工藤大稀だった。3年生時に前者は主将、後者は練習メニューを決める「練習メニューチーム」のリーダーを務めあげ、現在は役職を下級生に任せている。

 責任を全うすれば成長につながるのだろう。それぞれに4年生になってからの変化を聞けば、芦澤は工藤について「ピッチ内で建設的な話し合いができて的確な指示を送れる」と称え、かたや工藤は芦澤に「サッカーを楽しめるようになりプレーに柔軟性が増した」と賛辞の言葉を述べていた。群馬大戦、戦術眼に優れるこのふたりがコンビを組んだ右サイドから、貴重な3ゴール目が生まれたのは偶然ではないはずだ。

 育成には千差万別いろんな方法がある。指導者が自らの経験を基に選手にサッカーを教えるのが通例で、それもひとつの手だが、文教大が推し進める「学生主体」のチーム作りも面白い。学生の自発的な成長を促し、しかも選手間の活発な意見交換で互いを高め合っているから、チームとしての伸びしろは底抜けに大きいと思う。

取材・文●志水麗鑑(サッカーダイジェスト編集部)
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