幻の「0回大会」を経て日本サッカー界の“聖地”で
裏選手権は予選のない応募招待制だが、どんなチ—厶を招待するかの基準は設けている。JFAが主催する全国大会の予選などで一定以上の実績を残していて、何よりも「真剣に遊ぶ」O-40のチームが対象だ。
大会は1泊2日の日程で、招待された出場12チー厶が4ブロックに分かれ、初日の予選リ—グを経て、2日目のトーナメントに臨む。試合時間は50分(25分ハーフ)で、同点の場合はPK戦で決着をつける。各チーム2日で計4試合というなかなかのハードスケジュールだ。
怪我対策には力を入れてきた。プロやその予備軍のトレーナーたちが、消耗した身体をケアしてくれるブースを設け、特別協賛の「オムロンヘルスケア株式会社」をはじめとする協賛企業からの提供で、コンディションを整え、向上させる医療機器やサプリメントも使用できる。
2年目の大会からトレーナーを増員し、9人体制とした。初日の試合終了後はトレーナーブースを宿泊棟に移し、密を避けるなどの感染症対策を施しながら、より多くの選手がケアを受けられるように工夫した。
トレーナーチームには学生も含まれていて、全員プロを目指している。ひっきりなしのケアが大変そうなので、学生のひとりに「大丈夫?」と中村が声を掛けると、返ってきたのは気持ちの良い返答だった。オジサンたちは「ここが痛い、あそこが痛いとどんどん教えてくれるので、めちゃくちゃ勉強になってます!!」。
Jヴィレッジでの開催にも意味がある。
「日本サッカー界の“聖地”ですし、震災復興支援に少しでも貢献できたらと」
1年目の2日間、2年目の2日間といずれも快晴で天候にも恵まれた。選手たちに好条件下でプレーしてもらえたのも、中村たちには喜ばしいことだった。
裏選手権には、幻の「0回大会」がある。2019年の秋に開催予定だった最初の大会は、大型の台風接近で断念せざるをえなかった。
大会は1泊2日の日程で、招待された出場12チー厶が4ブロックに分かれ、初日の予選リ—グを経て、2日目のトーナメントに臨む。試合時間は50分(25分ハーフ)で、同点の場合はPK戦で決着をつける。各チーム2日で計4試合というなかなかのハードスケジュールだ。
怪我対策には力を入れてきた。プロやその予備軍のトレーナーたちが、消耗した身体をケアしてくれるブースを設け、特別協賛の「オムロンヘルスケア株式会社」をはじめとする協賛企業からの提供で、コンディションを整え、向上させる医療機器やサプリメントも使用できる。
2年目の大会からトレーナーを増員し、9人体制とした。初日の試合終了後はトレーナーブースを宿泊棟に移し、密を避けるなどの感染症対策を施しながら、より多くの選手がケアを受けられるように工夫した。
トレーナーチームには学生も含まれていて、全員プロを目指している。ひっきりなしのケアが大変そうなので、学生のひとりに「大丈夫?」と中村が声を掛けると、返ってきたのは気持ちの良い返答だった。オジサンたちは「ここが痛い、あそこが痛いとどんどん教えてくれるので、めちゃくちゃ勉強になってます!!」。
Jヴィレッジでの開催にも意味がある。
「日本サッカー界の“聖地”ですし、震災復興支援に少しでも貢献できたらと」
1年目の2日間、2年目の2日間といずれも快晴で天候にも恵まれた。選手たちに好条件下でプレーしてもらえたのも、中村たちには喜ばしいことだった。
裏選手権には、幻の「0回大会」がある。2019年の秋に開催予定だった最初の大会は、大型の台風接近で断念せざるをえなかった。
そんな経緯もあったので、2020年の第1回大会を無事に終え、友人の運転で帰京する車の中で中村は安堵していた。携帯しているスマホには、出場チームの代表者や選手たちから続々とメッセージが届いている。
中村が感謝の気持ちを綴って発信したSNSへの投稿にも多くの反響がある。「ものすごく良い大会でした」「楽しかったです」「ありがとうございました」。喜びの声をたくさん受け取り、助手席の中村は静かに嗚咽(おえつ)していた。
何事も起きてないかのように隣で運転してくれている年下の友人の優しさを感じながら、中村の嬉し涙は止まらなかった。
◇
裏選手権の第2回大会にJリーガーのOBチームを招待したのは、中村たちがある構想を温めているからでもある。
「Jクラブのシニア選手権です」
中村はツエーゲン金沢の初代GM(2005~07年)で、FC東京の営業部員(07~09年)だった職歴も持っている。
「今はJ3までクラブがあって、若年層を育成するカテゴリーは充実しています。けれど、シニアのチームはありません」
シニアのカテゴリーをJクラブが設け、例えばJリーグの試合の前座でシニアチーム同士が対戦する。齢(よわい)を重ねても、これだけやれるのかと観衆を沸かせる。元Jリーガーたちが憧れの存在のまま、中高年世代のロールモデルとなり、少子高齢化が進んでいく社会をサッカーで元気にしていけたら――。描いているのはそんなイメージだ。
中村が感謝の気持ちを綴って発信したSNSへの投稿にも多くの反響がある。「ものすごく良い大会でした」「楽しかったです」「ありがとうございました」。喜びの声をたくさん受け取り、助手席の中村は静かに嗚咽(おえつ)していた。
何事も起きてないかのように隣で運転してくれている年下の友人の優しさを感じながら、中村の嬉し涙は止まらなかった。
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裏選手権の第2回大会にJリーガーのOBチームを招待したのは、中村たちがある構想を温めているからでもある。
「Jクラブのシニア選手権です」
中村はツエーゲン金沢の初代GM(2005~07年)で、FC東京の営業部員(07~09年)だった職歴も持っている。
「今はJ3までクラブがあって、若年層を育成するカテゴリーは充実しています。けれど、シニアのチームはありません」
シニアのカテゴリーをJクラブが設け、例えばJリーグの試合の前座でシニアチーム同士が対戦する。齢(よわい)を重ねても、これだけやれるのかと観衆を沸かせる。元Jリーガーたちが憧れの存在のまま、中高年世代のロールモデルとなり、少子高齢化が進んでいく社会をサッカーで元気にしていけたら――。描いているのはそんなイメージだ。