「ネームブランドや所属チームは一切関係なかった」
マンチーニがもう一つ優れていた点は、選手の選び方にもあったのではないだろうか。彼は他の代表監督だったら決して招集しなかっただろう選手も使っていた。国外でプレーする選手を見に行く労もいとわなかった。
「かつての代表チームでは、ポジション別にクラブから抜き出すことが多かった。インテルからはDF、ミランからは中盤、ユベントスからはフォワードというようにだ。そうすれば各ポジションの中ではすでにハーモニーの取れた動きができあがっている。しかしマンチーニのアッズーリはそれとは正反対のまるでモザイクのようなチームだった。それは彼が自分の目で見て、本当に優秀と思える選手を集めたからだ。
ネームブランドや所属チームは一切関係なかった。だからロカテッリ、ラスパドーリ、ベラルディはサッスオーロという小さなチームから、トロイとペッシーナはアタランタ、シリグ、ベロッティはトリノ、カストロヴィッリはフィオレンティーナといわゆるプロビンチャのチームから集められた。国外からはチェルシーのジョルジーニョ、エメルソン、パリ・サンジェルマンのヴェッラッティ、フロレンツィ、ケーン。つまり何者にも引きずられず、マンチーニ自身が自分の実現したいチームのために選び抜いた選手たちだったのだ」
サポーターたちが次に夢見るのは、カタール・ワールドカップだ。今後のアッズーリはどうなるとラニエリは思うのか。
「基本的にメンバーはそれほど変わらないと思う。同時に、このチームをより強くしてくれる選手探しも、マンチーニは引き続き怠らないはずだ。例えば、不運にも多くの怪我に見舞われ、EUROには間に合わなかったローマのザニオーロなどもいる。しかし代表監督はマンチーニだ。私がどうこう口出す気はない。
ただ現在多くの優秀な若手が台頭してきていることもあり、今後の代表選びは彼にとっては喜ばしいが頭の痛いこととなるだろう。しかし私たちは安心して彼に任せることができる。マンチーニは心無い軽率な人間ではない。ただ一つだけ忘れてはいけない。我々はヨーロッパチャンピオンだが、まだワールドカップ予選を突破してはいないことを……」
イタリアは24日に行なわれるカタールW杯欧州予選プレーオフ準決勝で北マケドニアと対戦。勝てば、29日の決勝でポルトガル対トルコの勝者と相まみえる。
文●パオロ・フォルコリン
翻訳●利根川晶子
【著者プロフィール】
Paolo FORCOLIN(パオロ・フォルコリン)/ヴェネツィア生まれ。いくつかの新聞や雑誌を経て、1979年から『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙の記者に。まずは北部エリアを担当し、その後はユベントスの番記者を約30年に渡って務める。デル・ピエロやブッフォン、インザーギなどと親交を深めた。現在はフリーランスとして活躍。著書にデル・ピエロの伝記、ユーベの近代史を描いた『飛翔』など。
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「かつての代表チームでは、ポジション別にクラブから抜き出すことが多かった。インテルからはDF、ミランからは中盤、ユベントスからはフォワードというようにだ。そうすれば各ポジションの中ではすでにハーモニーの取れた動きができあがっている。しかしマンチーニのアッズーリはそれとは正反対のまるでモザイクのようなチームだった。それは彼が自分の目で見て、本当に優秀と思える選手を集めたからだ。
ネームブランドや所属チームは一切関係なかった。だからロカテッリ、ラスパドーリ、ベラルディはサッスオーロという小さなチームから、トロイとペッシーナはアタランタ、シリグ、ベロッティはトリノ、カストロヴィッリはフィオレンティーナといわゆるプロビンチャのチームから集められた。国外からはチェルシーのジョルジーニョ、エメルソン、パリ・サンジェルマンのヴェッラッティ、フロレンツィ、ケーン。つまり何者にも引きずられず、マンチーニ自身が自分の実現したいチームのために選び抜いた選手たちだったのだ」
サポーターたちが次に夢見るのは、カタール・ワールドカップだ。今後のアッズーリはどうなるとラニエリは思うのか。
「基本的にメンバーはそれほど変わらないと思う。同時に、このチームをより強くしてくれる選手探しも、マンチーニは引き続き怠らないはずだ。例えば、不運にも多くの怪我に見舞われ、EUROには間に合わなかったローマのザニオーロなどもいる。しかし代表監督はマンチーニだ。私がどうこう口出す気はない。
ただ現在多くの優秀な若手が台頭してきていることもあり、今後の代表選びは彼にとっては喜ばしいが頭の痛いこととなるだろう。しかし私たちは安心して彼に任せることができる。マンチーニは心無い軽率な人間ではない。ただ一つだけ忘れてはいけない。我々はヨーロッパチャンピオンだが、まだワールドカップ予選を突破してはいないことを……」
イタリアは24日に行なわれるカタールW杯欧州予選プレーオフ準決勝で北マケドニアと対戦。勝てば、29日の決勝でポルトガル対トルコの勝者と相まみえる。
文●パオロ・フォルコリン
翻訳●利根川晶子
【著者プロフィール】
Paolo FORCOLIN(パオロ・フォルコリン)/ヴェネツィア生まれ。いくつかの新聞や雑誌を経て、1979年から『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙の記者に。まずは北部エリアを担当し、その後はユベントスの番記者を約30年に渡って務める。デル・ピエロやブッフォン、インザーギなどと親交を深めた。現在はフリーランスとして活躍。著書にデル・ピエロの伝記、ユーベの近代史を描いた『飛翔』など。
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