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レフェリングの新たな傾向。原博実副理事長に聞くJリーグが“激しくもフェアでタフでエキサイティング”に変貌した理由

カテゴリ:Jリーグ

江藤高志

2022年01月05日

審判との関係性の変化

昨年末のリーグ最終節では家本政明主審へのサポーターからのメッセージなど温かい光景が見られた。(C)SOCCER DIGEST

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 タフでフェアな試合を運営するにあたり、レフェリーとの関係性の変化も、要因として見逃せないと原副理事長は締めくくる。

「レフェリーのコミュニケーションが上手になってきたと思う。昔は選手とのコミュニケーションの取り方がまだまだ未熟だったはず。俺の現役時代からそうだけど、審判は選手とは会話しないみたいな感じがあった。近寄りがたい雰囲気があって外国籍選手もやりづらそうだったね。で、今度はコミュニケーションを取るべきだという方向に振れ過ぎた時期もあったけど、だんだん普通になってきた」

 そうしたコミュニケーションの取り方を試行錯誤する中で、レフェリーと選手の自然な会話が成り立つようになったと原副理事長も語る。

「選手は言うことは言う。でもレフェリーも俺はこう思ったから、今こう判断したんだっていう、自然なこの会話が成り立つようになった」

 この発言で思い出されるのが、2019年のルヴァンカップ決勝での一コマであろう。Jリーグ公式youtubeチャンネルで公開された動画では、「DOGSO」により谷口彰悟が退場になった判定に関し荒木友輔主審が、札幌の深井一希から受けた「いい試合なんだから退場にしなくてもいいのでは?」という言葉を紹介。荒木主審は、レフェリーとしての立場を説明したという場面だった。ここで明らかになった選手とレフェリーの自然な距離感は、彼らが共に積み重ねてきた良い関係性の成果であり、選手とレフェリーとの間に信頼関係が生まれているのではないかと原副理事長は指摘する。

「コミュニケーションが前よりは良くなってきて、そこで信頼関係が生まれると、選手たちもやっぱり受け入れる。レフェリーもカードじゃなくて、会話だけじゃなくて、身振り手振りとかそういう全体を使ったコミュニケーションで、お互い一緒に演出していくみたいなのが上手になってるんじゃないかな」

 そうやって「近寄りがたい」存在だったレフェリーがサッカーファミリーとして認められる過程で、いわゆる荒れた試合が減り、結果として余計な笛やカードや減っているのだろう。
 これは余談になるが、今季限りで一線を退いた村上伸次さんと家本政明さんが、引退試合に際しサポーターや両チームの選手から送り出された場面について原副理事長は「家本さんや村上さん、あの人たちがピッチ上では、みんなで戦ったり意見を言い合ったりしていたのが、ああやって送り出されてね。あれを見てオレはすごく嬉しかった。本当になんか涙出るぐらい嬉しかった。やっと日本にもこういう時代が来たのかって。オレが若かったら本当にレフェリーやろうかなとって思える場面だったよな」と力を込めた。

「審判が一緒にゲームを作る仲間みたいになってきたよね。選手はミスするし、監督だって采配ミスする中で、同じように審判だってミスする。だけど、審判は一瞬で判断しなきゃいけないことがすごくいっぱいあると思う。それに対し怒る気持ちは分かるけど、その人たちがいなきゃサッカーの試合って作れない。そういうのが少しずつ広まっている気がする。それが審判に対するリスペクトで、そのリスペクトがすごくいい方向に今は行ってるかなと思ってるけどね」

 激しくもフェアなリーグは、監督、選手はもちろん、レフェリーの協力の中で現実のものとなる。ファン・サポーター、メディア側の我々もそこに関わりつつ、世界に比肩するJリーグを作っていきたい。

取材・文●江藤高志(川崎フットボールアディクト)
 
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