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今だからこそ話せる川崎時代のエピソードと以心伝心のゴール。中村憲剛×大久保嘉人【特別対談/後編】

カテゴリ:Jリーグ

本田健介(サッカーダイジェスト)

2022年01月04日

「嘉人は後輩のフォローもして」(中村)

数々のゴールを生み出してきた中村と大久保。ピッチでは阿吽の呼吸を見せた。(C)SOCCER DIGEST

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――ピッチ上での阿吽の呼吸も含めて、ふたりのコンビネーションはやはり別格でした。改めてその間柄はどんなものですか?

中村 仲良くさせてもらっていますが、ベッタリという形ではないですよ。それにピッチ上の嘉人の存在感は絶大ですが、ピッチをひとたび離れると「嘉人どこだ⁉」という感じになりますから(笑)。最初に見た時は二重人格かと、衝撃的で。

大久保 あれはなんでなんだろう(笑)。自分でも深くは考えていなくて。でもサッカー以外のことでは上手く言葉が出てこないというか。普段のロッカールームなどでも、恥ずかしいし、なんて話かければ良いだろうと、考えるところからスタートで。だから自分からそこまでグイグイいけなくて。

中村 周りもまずは「あの大久保嘉人だ」となるから、フランクにいけないよね。それで、本人も口数が多くないから、周りは最初は「どうしよ?」となる。でも嘉人のフロンターレ時代の話をすれば、(新井)章太(現・千葉)、ノボリ(登里享平)、ケンタロウ(森谷賢太郎/現・愛媛)あたりが距離をガッと詰めたから、良い雰囲気だった。川崎でのいじられ方はある意味、凄かったなと。

大久保 これまで所属してきたチームのなかで一番だったね(笑)。でも自分としてもいじってもらったほうが良かったから、ありがたかった。川崎は関東のクラブだし、最初はそういう選手がいないと思っていて。

中村 あんなに雑に扱われるとは思ってなかったよね(笑)?

大久保 そう、面白いクラブだなと。

中村 当時はピッチを離れれば、嘉人にダメ出しできる選手も多かった。ノボリらが冗談で「ヨシト、それはあかんやろ」と(笑)。章太は全員に同じように接していたけど、嘉人のことをよくいじっていたしね。

大久保 そういう環境も川崎での結果につながった背景かもしれないよね。

中村 よくご飯もみんなで行っていたよね。そこで色々話して、また頑張ろうと。

大久保 めちゃくちゃ楽しかった。

中村 嘉人は当時、そういう会に後輩の(大島)僚太らも呼んで、上手くいかなかった試合などのあとにフォローもしていて。

大久保 そこはなにか考えがあってというよりも、僚太はこちらがなにか話せばすぐに響く選手だったから。だからこそ、よくご飯にも誘って、反省会じゃないけど、話していたよね。
――そういうところに、今では王者・川崎を支えるようになった選手たちの成長の要因があったのかもしれません。

大久保 俺はピッチでは怒鳴るけど、少し離れれば割り切れるんですよ。でもそういった食事の場で、改めてしっかり話せば、例えば僚太にしても次の練習でこちらが言ったことをやろうとしてくれる。彼は素直でしたからね。

中村 そしたら僚太はいつの間にか、僕らふたりを囮に使うようになっていた(笑)。よく成長しましたよ。当時は(小林)悠らも含めて、嘉人に食らいついていくという形で切磋琢磨していましたから。嘉人の要求はやっぱり高いわけですよ。そしてご飯を一緒に食べながらフォローもする。今、振り返っても、良い環境だったなと感じますよね。嘉人は裏表がなくて、すべてが直球なので言葉が心に響く。その選手が嫌いだからガンガン言うわけではなくて、自分が点を取って、チームが勝つために話していて、実践すると結果にもつながった。誰もが嘉人の要求に耳を傾けながらレベルを上げていました。改めて良いサイクルでしたよ。

大久保 慕われていたかどうかは分からないですけどね。仲良くさせてもらっていたとは思います。当初は関東は冷たいイメージがあったので、絶対に行きたくなかったんです(13年に神戸から川崎へ移籍)。実を言うと、フロンターレへの移籍の話が出る前に友だちと、「フロンターレには行きたくないよ」なんて話していて。なぜか冷たそうで、真面目な選手が多くて面白くなさそうという勝手なイメージを持っていました(笑)。でも実際に入ってみたら最高の環境で。

中村 だからこそ川崎からFC東京に移籍する時(2017年)も大変だったんですよ(笑)。みんなフロンターレに残ってほしくて、僕も説得しましたから。でも、嘉人は一度こうと決めたら変えない。今だから言えますが、その前にも一度、嘉人が移籍するかもということがあって。その時はチームメイトみんなで必死に説得して。「今じゃないだろ」と。その時は「残る」と言ってくれて、みんなで号泣した思い出が(笑)。あれはいつだっただろう?

大久保 2014年のシーズンオフの時かな。

――その説得がなければ川崎での2013年からの3年連続でのJ1得点王という偉業も生まれなかったわけですもんね。

中村 本当にそうですよ!! 凄い記録ですからね。今後、並べる選手はいるかもしれないですが、抜ける選手はなかなかいないと思います。
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