【連載】小宮良之の『日本サッカー兵法書』 其の二十四「世界を動かす力」

カテゴリ:特集

小宮良之

2015年06月25日

現代フットボールにおいては、常にふたつの可能性を踏まえる必要がある。

ウルグアイ代表としてコパ・アメリカに参戦するオルティゴサ。体脂肪はそれほど低く見えないが、攻守で目まぐるしく奮闘する“数字に見えない能力の持ち主”だ (C)Getty Images

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「パスを寄こせ。俺が世界を動かしてやる!」
 
 ピッチ上で、シャビはチームメイトにそう呼びかける。
 
<世界を動かせる男>
 
 そんな選手を、どう数字で評価するのか?
 
 パスはシャビの持ち味であるが、その波及効果について本数や成功率だけで語っても意味がない。なぜならチームを動かすことそのものに、シャビのフットボールの特長があるからだ。分類化した能力値とは同列に語れない。
 
 現在、南米チリで開催されているコパ・アメリカに出場しているパラグアイの司令塔、ネストル・オルティゴサの力も、“数字に見えない能力の持ち主”という点で最たる例だろう。
 
 オルティゴサは肥満気味で、体脂肪12パーセント以下ということはあり得ない。だが鷲の目のような視野の広さとボールの勘所を知ったキックは非凡で、どこでいつなにをすべきか、戦いの極意を知る。守備でも攻撃の芽を着実に摘み、危険な場所で身体を張る。小さな力士のようなオルティゴサには、大会グループリーグのベストイレブンに相当する輝きがある。
 
 数字に救われる。
 数字に囚われる。
 
 詳細なデータが計測できるようになった現代フットボールにおいては、常にふたつの可能性を踏まえる必要があるだろう。
 
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。01年にバルセロナへ渡りライターに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写。近著に『おれは最後に笑う』(東邦出版)。
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