現代フットボールにおいては、常にふたつの可能性を踏まえる必要がある。
「パスを寄こせ。俺が世界を動かしてやる!」
ピッチ上で、シャビはチームメイトにそう呼びかける。
<世界を動かせる男>
そんな選手を、どう数字で評価するのか?
パスはシャビの持ち味であるが、その波及効果について本数や成功率だけで語っても意味がない。なぜならチームを動かすことそのものに、シャビのフットボールの特長があるからだ。分類化した能力値とは同列に語れない。
現在、南米チリで開催されているコパ・アメリカに出場しているパラグアイの司令塔、ネストル・オルティゴサの力も、“数字に見えない能力の持ち主”という点で最たる例だろう。
オルティゴサは肥満気味で、体脂肪12パーセント以下ということはあり得ない。だが鷲の目のような視野の広さとボールの勘所を知ったキックは非凡で、どこでいつなにをすべきか、戦いの極意を知る。守備でも攻撃の芽を着実に摘み、危険な場所で身体を張る。小さな力士のようなオルティゴサには、大会グループリーグのベストイレブンに相当する輝きがある。
数字に救われる。
数字に囚われる。
詳細なデータが計測できるようになった現代フットボールにおいては、常にふたつの可能性を踏まえる必要があるだろう。
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。01年にバルセロナへ渡りライターに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写。近著に『おれは最後に笑う』(東邦出版)。
ピッチ上で、シャビはチームメイトにそう呼びかける。
<世界を動かせる男>
そんな選手を、どう数字で評価するのか?
パスはシャビの持ち味であるが、その波及効果について本数や成功率だけで語っても意味がない。なぜならチームを動かすことそのものに、シャビのフットボールの特長があるからだ。分類化した能力値とは同列に語れない。
現在、南米チリで開催されているコパ・アメリカに出場しているパラグアイの司令塔、ネストル・オルティゴサの力も、“数字に見えない能力の持ち主”という点で最たる例だろう。
オルティゴサは肥満気味で、体脂肪12パーセント以下ということはあり得ない。だが鷲の目のような視野の広さとボールの勘所を知ったキックは非凡で、どこでいつなにをすべきか、戦いの極意を知る。守備でも攻撃の芽を着実に摘み、危険な場所で身体を張る。小さな力士のようなオルティゴサには、大会グループリーグのベストイレブンに相当する輝きがある。
数字に救われる。
数字に囚われる。
詳細なデータが計測できるようになった現代フットボールにおいては、常にふたつの可能性を踏まえる必要があるだろう。
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。01年にバルセロナへ渡りライターに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写。近著に『おれは最後に笑う』(東邦出版)。