本田のトップ下のライバルはボナベントゥーラ、そしてあの人。
ここで、素朴な疑問が持ち上がる。昨シーズンのミランは、4-3-3を実践すべくオフェンシブなサイドの選手を多く獲得していたが、システムが変わった今、彼らはどうなるのか?
もちろん、そのうちの数人は放出されるだろう。その候補として最初に頭に浮かぶ名前は、アレッシオ・チェルチだ。彼のここまでの貢献度は、確実に期待以下のものだった。チェルチのレンタル期間はまだ1年残っているが、それを待たずしてミランを去る可能性は大いにある。
続いてもうひとり、ミランを後にするかもしれないのがステファン・エル・シャーラウィだ。彼がセカンドトップとして不向きなのは、すでに実証済みである。
4-3-1-2では、サイドの選手はあまり必要ない。必要なのは本物のストライカーであり、エリア内での動き方やゴール前でのDFのかわし方を知っている選手である。サイドからスタートし、中央に切り込んでいくことはあまりない。
では、本田圭佑はどうなるのか? 私は、彼はミランに残るだろうと見ている。仕事に対するアプローチにしても、戦術的なインテリジェンスにおいても、彼は重要な選手だからだ。
ミランに来てから1年半、本田は常に右サイドの攻撃を担ってきた。怪我人続出で仕方なくインザーギが彼を中央で使ったことはあったが、それも数える程である。本田はずっと右サイドを上がったり下がったりしてきた。それまでやったことのないプレーだったのに、その任務を非常にうまくこなしていた。
しかし、4-3-1-2採用でサイドアタックというポジションがほぼ消滅したあと、彼に残されたポジションはトレクアルティスタ(トップ下)しかない。言うまでもなく、それは彼本来のポジションでもあり、彼はクラブでも代表でも、長きに渡ってトップ下でプレーしてきた。欧州で彼がその名を知らしめたのも、このポジションで、だった。
ならば、「本田が彼本来のトップ下に戻る。全てはそれで解決するではないか」と思われるかもしれないが、物事はそうは簡単にはいかない。
まず、ミランのこのポジションには、すでにジャコモ・ボナベントゥーラがいるからだ。ビッグネームではないが、すでにこのポジションで結果を出してきているし、プレーのビジョン、謙虚さ、自己犠牲の精神と、持っている武器も本田とほぼ同じである。
また、イブラヒモビッチにも注意しなければならない。今、ミランはどんな手を使ってもでも、彼をミランに呼び戻そうと必死になっている。
そのイブラヒモビッチは、型にはまらない動きをするストライカーだ。ラインとラインの間でプレーし、自由に動けるスペースを探す。ということは4-3-1-2の場合、トップ下として置かれる可能性が大いにある。
とにかく本田は、新シーズンでもライバルには不自由しないということである。もちろんビッグクラブならば、それは当たり前のことなのだが……。
それでも、本田のことを知っている私は、実はそれほど心配してはいない。本田がミランに来てから、実に多くの監督が来ては去っていったが、その誰もが本田のことを評価し、信頼してきたからだ。ミハイロビッチも多分、その例に漏れることはないだろう。
文:マルコ・パソット(ガゼッタ・デッロ・スポルト)
協力・翻訳:利根川晶子
Marco PASOTTO/Gazzetta dello Sport
マルコ・パソット
1972年2月20日、トリノ生まれ。95年から『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙で執筆活動。2002年から8年間ウディネーゼを追い、10年より番記者としてミランに密着。ミランとともにある人生を送っている。
もちろん、そのうちの数人は放出されるだろう。その候補として最初に頭に浮かぶ名前は、アレッシオ・チェルチだ。彼のここまでの貢献度は、確実に期待以下のものだった。チェルチのレンタル期間はまだ1年残っているが、それを待たずしてミランを去る可能性は大いにある。
続いてもうひとり、ミランを後にするかもしれないのがステファン・エル・シャーラウィだ。彼がセカンドトップとして不向きなのは、すでに実証済みである。
4-3-1-2では、サイドの選手はあまり必要ない。必要なのは本物のストライカーであり、エリア内での動き方やゴール前でのDFのかわし方を知っている選手である。サイドからスタートし、中央に切り込んでいくことはあまりない。
では、本田圭佑はどうなるのか? 私は、彼はミランに残るだろうと見ている。仕事に対するアプローチにしても、戦術的なインテリジェンスにおいても、彼は重要な選手だからだ。
ミランに来てから1年半、本田は常に右サイドの攻撃を担ってきた。怪我人続出で仕方なくインザーギが彼を中央で使ったことはあったが、それも数える程である。本田はずっと右サイドを上がったり下がったりしてきた。それまでやったことのないプレーだったのに、その任務を非常にうまくこなしていた。
しかし、4-3-1-2採用でサイドアタックというポジションがほぼ消滅したあと、彼に残されたポジションはトレクアルティスタ(トップ下)しかない。言うまでもなく、それは彼本来のポジションでもあり、彼はクラブでも代表でも、長きに渡ってトップ下でプレーしてきた。欧州で彼がその名を知らしめたのも、このポジションで、だった。
ならば、「本田が彼本来のトップ下に戻る。全てはそれで解決するではないか」と思われるかもしれないが、物事はそうは簡単にはいかない。
まず、ミランのこのポジションには、すでにジャコモ・ボナベントゥーラがいるからだ。ビッグネームではないが、すでにこのポジションで結果を出してきているし、プレーのビジョン、謙虚さ、自己犠牲の精神と、持っている武器も本田とほぼ同じである。
また、イブラヒモビッチにも注意しなければならない。今、ミランはどんな手を使ってもでも、彼をミランに呼び戻そうと必死になっている。
そのイブラヒモビッチは、型にはまらない動きをするストライカーだ。ラインとラインの間でプレーし、自由に動けるスペースを探す。ということは4-3-1-2の場合、トップ下として置かれる可能性が大いにある。
とにかく本田は、新シーズンでもライバルには不自由しないということである。もちろんビッグクラブならば、それは当たり前のことなのだが……。
それでも、本田のことを知っている私は、実はそれほど心配してはいない。本田がミランに来てから、実に多くの監督が来ては去っていったが、その誰もが本田のことを評価し、信頼してきたからだ。ミハイロビッチも多分、その例に漏れることはないだろう。
文:マルコ・パソット(ガゼッタ・デッロ・スポルト)
協力・翻訳:利根川晶子
Marco PASOTTO/Gazzetta dello Sport
マルコ・パソット
1972年2月20日、トリノ生まれ。95年から『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙で執筆活動。2002年から8年間ウディネーゼを追い、10年より番記者としてミランに密着。ミランとともにある人生を送っている。