そんなネイマールが生活を改める確率よりずっと確実なのは、以下の事実だ。

「背番号30」をつけた新パリジャンは、ボールを預けるべきときに預け、ドリブルすべきときにドリブルし、チームメイトたちをプレーさせ、ひっきりなしに対戦相手や審判と激突・衝突するのを探し求めるようなことをしないプレーヤーだ、ということである。要するに、ネイマールができなかったことをしてくれるのがメッシなのだ。

　とはいえ、いくつかの疑問も宙に浮いたままになっている。
　
　まず真っ先に考えるのが、「誰がFKとPKを蹴るのか？」という点だ。メッシ、ネイマール、キリアン・エムバペ、アンヘル・ディ・マリアと、候補者数はおびただしい。

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　次に、「どうやって守備するのか？」という点だ。「アタッカーたちがディフェンシブなタスクに十分に参加していない」という厳しい批判が噴出しているパリSGだが、メッシもいまや、「ボールと一緒」のプレーしかしなくなっている。マイボールでなくなると、「歩いて」いるのだ。
　
　リーグ・アンが舞台ならそれでも問題はないだろう。だがCLが舞台となれば、８人だけで守るなど、不可能である。
　
　スターたちのエゴにしっかり気を配りつつも、チーム全体の利益を優先するマネージメントができるか――。マウリシオ・ポチェティーノ監督に課されたタスクは簡単ではない。
　
　シンプルに考えて、欧州制覇はかなり難しいミッションになる。それが私の見解だ。

文●レミー・ラコンブ　text by Remy LACOMBE
訳●結城麻里　translation by Marie YUUKI

■Remy LACOMBE（レミー・ラコンブ）
著者プロフィール／1959年11月８日、フランス東部アルザス地方出身。スポーツ日刊紙『レキップ』でサッカー担当として活躍後、1995年より欧州随一の権威を誇る専門誌『フランス・フットボール』に異動し、旺盛な取材活動を展開。現在は編集長を務める。

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