厳しい戦いは今後も続くはずだが…
殊勲の小林悠は試合後に印象的な言葉を残している。
「初めて負けたことで、周りがフロンターレは大丈夫かという感じになっていましたが、自分はもっと苦しい時代などを経験してきているので、正直、一回負けることなんて普通だと思っていました。今までが出来すぎていたので、そこは気にしすぎずというか、そういう苦しい思いを知っている選手、自分であったり、ノボリ(登里享平)であったりが、声をかけあいながらやったことが、今日の勝ちにつながったと思います。引きずらないことが大事だと感じていたので、とにかくアグレッシブに前半からやれたと思います。
鬼さんとも話しましたが、以前は強気に前からいって勝っていたところが、最近は失点は少ないですが、得点を奪えていなかったのは、前がかりになってないからなのかなと僕も思っていましたし、前がかりにいってやられたら、みんなで戻ればいい。そこに立ち帰れたというか。戦うこと、ハードワークすること、とにかくアグレッシブにいくことは、試合前に鬼さんもはっきりと言ってくれたので、中2日で、みんな身体も相当にきつかったですが、目標は明確だったので、積極的にプレーしていたと思います」
今でこそJリーグを引っ張る存在となった川崎だが、2017年の初のリーグ制覇を成し遂げるまで、その後もだが、多くの悔しき経験をしてきた。そうした歴史を知っている選手たちが、苦しい時ほどチームを牽引できるのはなによりの強みである。彼らの背中を見て、学ぶことは多いはずで、それこそがクラブ内で引き継がれていく意志や姿勢になっていくのだろう。
「初めて負けたことで、周りがフロンターレは大丈夫かという感じになっていましたが、自分はもっと苦しい時代などを経験してきているので、正直、一回負けることなんて普通だと思っていました。今までが出来すぎていたので、そこは気にしすぎずというか、そういう苦しい思いを知っている選手、自分であったり、ノボリ(登里享平)であったりが、声をかけあいながらやったことが、今日の勝ちにつながったと思います。引きずらないことが大事だと感じていたので、とにかくアグレッシブに前半からやれたと思います。
鬼さんとも話しましたが、以前は強気に前からいって勝っていたところが、最近は失点は少ないですが、得点を奪えていなかったのは、前がかりになってないからなのかなと僕も思っていましたし、前がかりにいってやられたら、みんなで戻ればいい。そこに立ち帰れたというか。戦うこと、ハードワークすること、とにかくアグレッシブにいくことは、試合前に鬼さんもはっきりと言ってくれたので、中2日で、みんな身体も相当にきつかったですが、目標は明確だったので、積極的にプレーしていたと思います」
今でこそJリーグを引っ張る存在となった川崎だが、2017年の初のリーグ制覇を成し遂げるまで、その後もだが、多くの悔しき経験をしてきた。そうした歴史を知っている選手たちが、苦しい時ほどチームを牽引できるのはなによりの強みである。彼らの背中を見て、学ぶことは多いはずで、それこそがクラブ内で引き継がれていく意志や姿勢になっていくのだろう。
今季、初黒星を喫した翌日に鬼木監督もこう語ってくれていた。
「長いシーズン戦っていれば、こういう時期もあるということは話しています。そして昇格、優勝を争っている時でも、降格を争っている時でも、やることは目の前の試合の準備しかないと。そこをしっかりやろうと。
今は我慢の時期だと思っているとも話しました。というのは新しく入った選手を含め、今、試合に出ている選手も、圧倒的だったというか昨年の勝ち方しか知らない選手もいます。
1年目、2年目は3連勝や4連勝しかできなかった(負けずとも引き分けを挟んだ)けれども優勝している。そういった我慢強さはチームにとって大事だと、そういう話はずっとしてきています。そこは当然、9か月ぶりの敗戦なので分かる人と分からない人がいると思いますが、みんなでこういうものを共有し合えることも大事です。
1年目の時から言っていますが、その時の空気感って言葉では説明が難しいですよね。だからこそ優勝した時の空気感を含め覚えていてほしいと。経験というのはすごく生きてくると思っていますし、生かしていかなくてはいけないと思います。勝負の世界なので次のゲームがどうなるかは分かりませんが、生かさなくてはいけないと考えています」
昨季限りで中村憲剛が引退し、前述したように夏には三笘と田中が海外へ移籍。新陳代謝を高める必要があり、ユースから昇格して2年目のウイング・宮城天、大卒ルーキーのプレーメーカー・橘田健人、22歳のアタッカー・遠野大弥ら楽しみなタレントは揃っている。
それでも経験値や完成度という面でまだ足りないところがあるのは事実で、指揮官の言葉通り今は個々の成長、チームとしてのさらなる積み上げを含めて「我慢の時」を過ごすことになるのだろう。大島僚太、谷口彰悟、旗手怜央と主力に怪我人が続いているのも厳しい。
ただし札幌戦の勝利がチームにもたらすものは小さくないはず。新たな伸びしろを持っている面はポジティブに考えれば楽しみなポイントでもある。
考え方によっては、チームとして成長できるチャンスでもある。
その意見に、鬼木監督は「余裕があるわけではないんですけどね」と苦笑いを浮かべる。
それでも指揮官は“選手一人ひとりの特長を生かすサッカー”をテーマに、個々のさらなるレベルアップを願っているのだ。
「人を育てるところは我慢も必要だと思いますが、1年目の選手たちに責任を負わせるのは、まったく違う話です。選手たちにはいつも責任感を持ってプレーしてほしいと話していますが、責任は『君たちが取るものではない』と常々、伝えています。そういう意味でいうと、『楽しく』という言葉が正しいか分からないですが、環境を作り出してあげるのが自分の仕事だと思っていますし、自分にできるマネジメントはまだまだあるのかなと感じています」
さらに厳しい日程を強いられる今後は、恐らく苦戦が続くはずである。より強い逆風にも晒されるだろう。それでも意志を貫き、ロマンを持つ挑戦の先には新たな道があるに違いない。積み重ねは、クラブの歴史になっていくのだろう。
鬼木監督は我慢の時期がシーズン終盤ではなく、このタイミングにきたことを前向きにも捉えている。「最後にどこにいるかが大事」。今季初黒星を含めてここ数戦のゲーム、そして札幌戦から学べたことは多かったはずだ。ここからの進化に注目したい。
取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)
「長いシーズン戦っていれば、こういう時期もあるということは話しています。そして昇格、優勝を争っている時でも、降格を争っている時でも、やることは目の前の試合の準備しかないと。そこをしっかりやろうと。
今は我慢の時期だと思っているとも話しました。というのは新しく入った選手を含め、今、試合に出ている選手も、圧倒的だったというか昨年の勝ち方しか知らない選手もいます。
1年目、2年目は3連勝や4連勝しかできなかった(負けずとも引き分けを挟んだ)けれども優勝している。そういった我慢強さはチームにとって大事だと、そういう話はずっとしてきています。そこは当然、9か月ぶりの敗戦なので分かる人と分からない人がいると思いますが、みんなでこういうものを共有し合えることも大事です。
1年目の時から言っていますが、その時の空気感って言葉では説明が難しいですよね。だからこそ優勝した時の空気感を含め覚えていてほしいと。経験というのはすごく生きてくると思っていますし、生かしていかなくてはいけないと思います。勝負の世界なので次のゲームがどうなるかは分かりませんが、生かさなくてはいけないと考えています」
昨季限りで中村憲剛が引退し、前述したように夏には三笘と田中が海外へ移籍。新陳代謝を高める必要があり、ユースから昇格して2年目のウイング・宮城天、大卒ルーキーのプレーメーカー・橘田健人、22歳のアタッカー・遠野大弥ら楽しみなタレントは揃っている。
それでも経験値や完成度という面でまだ足りないところがあるのは事実で、指揮官の言葉通り今は個々の成長、チームとしてのさらなる積み上げを含めて「我慢の時」を過ごすことになるのだろう。大島僚太、谷口彰悟、旗手怜央と主力に怪我人が続いているのも厳しい。
ただし札幌戦の勝利がチームにもたらすものは小さくないはず。新たな伸びしろを持っている面はポジティブに考えれば楽しみなポイントでもある。
考え方によっては、チームとして成長できるチャンスでもある。
その意見に、鬼木監督は「余裕があるわけではないんですけどね」と苦笑いを浮かべる。
それでも指揮官は“選手一人ひとりの特長を生かすサッカー”をテーマに、個々のさらなるレベルアップを願っているのだ。
「人を育てるところは我慢も必要だと思いますが、1年目の選手たちに責任を負わせるのは、まったく違う話です。選手たちにはいつも責任感を持ってプレーしてほしいと話していますが、責任は『君たちが取るものではない』と常々、伝えています。そういう意味でいうと、『楽しく』という言葉が正しいか分からないですが、環境を作り出してあげるのが自分の仕事だと思っていますし、自分にできるマネジメントはまだまだあるのかなと感じています」
さらに厳しい日程を強いられる今後は、恐らく苦戦が続くはずである。より強い逆風にも晒されるだろう。それでも意志を貫き、ロマンを持つ挑戦の先には新たな道があるに違いない。積み重ねは、クラブの歴史になっていくのだろう。
鬼木監督は我慢の時期がシーズン終盤ではなく、このタイミングにきたことを前向きにも捉えている。「最後にどこにいるかが大事」。今季初黒星を含めてここ数戦のゲーム、そして札幌戦から学べたことは多かったはずだ。ここからの進化に注目したい。
取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)