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【川崎】今季初黒星から中2日での意地の勝利。札幌戦で象徴的だった小林悠の背中と鬼木達監督の言葉

カテゴリ:Jリーグ

本田健介(サッカーダイジェスト)

2021年08月30日

「振り返った時に、また今の現状を笑って話せるようにしたいよねと」

札幌戦でチームを救った小林。頼れる男としてチームを牽引する。(C)SOCCER DIGEST

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「まさに(札幌への)移動中、山根(視来)選手と話していたんですよ。(昨年、初黒星となった)名古屋に負けて移動した時、『あの時もきつかったよね』と。だから振り返った時に、また今の現状を笑って話せるようにしたいよねと」

 脇坂泰斗は敵地・ベススタで今季、初黒星を喫した翌日、中2日で迎える札幌戦へ向けて九州から北海道へ移動する最中のやり取りを教えてくれた。

 昨季、数々の記録を打ち立て、圧巻の成績(26勝5分3敗)でリーグを制した川崎。今季はそれ以上の強さを見せ、開幕から全公式戦で無敗と、歴史に残る戦いを見せていた。

 ただ、だからこそ初黒星を喫すれば、大きなニュースになる。夏に4-3-3のキーマンであった三笘薫、田中碧が海外移籍し、ACL、天皇杯、ルヴァンカップと前人未踏の4冠を目指すチームは、夏場のアウェー連戦を含むハードスケジュールにも悩まされてここ数戦は苦戦。8月14日の24節・柏戦(△0-0/アウェー)、21日の25節・広島戦(△1-1/アウェー)と2試合連続で勝ちきれず、25日にはアウェー連戦6戦目となる福岡とのゲームを迎えると、0-1で敗戦。遂に今季初黒星を喫したのだ。

 そして福岡から札幌へ移動し、中2日で27節の札幌戦へ臨む。振り返れば、昨季も10連勝で迎えた敵地での名古屋戦(8月23日)で初黒星(●0-1)を喫し、中2日でアウェー連戦となる神戸戦へ臨んでいた。あの頃は新型コロナウイルスの感染対策も手探りな部分があり、アウェー連戦は通常よりもハードルの高いものだったと記憶している。

 どこか気持ちが守りに入ってしまうのではないか。そんな不安がよぎるなか、当時、鬼木達監督はこう呼びかけた。

「とにかくやられても良いから、自分たちの形を押し出そう」

 ゲームは前半のうちに神戸に逆転される苦しい展開となったが、後半に旗手怜央のリーグ初ゴールで同点に追いつき、勝点1を獲得。その後、再び新記録となる12連勝を達成する快進撃へとつなげてみせた。

 後に指揮官はこうも振り返っていた。

「あの試合は今までにないくらいチャンスを作られましたよね。でもまず、相手どうこうではなくて自分たちがやれてないという想いがありました。だからあのゲームで自分の考えも改めて整理でき、やられてもいく、どんな時も強気にいこうと。仮に守って勝っても自分は喜べないはずなんです。フロンターレとして目指すサッカーがあって、選手たちにはそこに誇りを持ってもらいたい」

 選手たちは昨季、ターニングポイントになったゲームを挙げにくいと口を揃えたが、この2連戦が大きな意味を持っていたことは間違いない。だからこそ、脇坂も冒頭のようにしみじみと語っていたのだろう。
 
 そして話を今季に戻し、注目された8月28日の札幌戦は、小林悠が34分に欲しかった先制点を技ありのゴールで奪い、5分後には遠野大弥のゴールもアシスト。頼れる男の活躍で、勝利を手にした。ちなみに川崎は2018年の5月以降、リーグ戦で1度も連敗がない。これは見事な成績としか言いようがないだろう。

 札幌戦後、鬼木監督は「選手たちが気迫溢れ、スタートから立ち向かってくれました。非常に気持ちのあるゲームをしてくれたと思います。気持ちのところの勝負になるだろうということを話しました。こういう時だからこそ、自分たちらしさ、そういうもので戦う。そしてまた、新しいフロンターレでのリスタート、そういう形で出発しよう、歴史を作ろう、そういう話をしました。そこに向かってやってくれたと思います」と選手を労った。

「後半はああいう形で、苦しい時間が増えると思いましたが、選手全員にこちらの意図を汲んでもらいました。自分たちのサッカーをしながらも、難しい時には違う形でも勝利しようと話していたので、それをしてくれました」と指揮官は続けたように、2点のリードを得て迎えた後半は4-3-3から4-2-3-1、4-4-2へとシステムを変え、ゲームを締めにかかる現実的な戦いも選んだ。それでも、疲労が溜まり苦しい状況のなか、前を向いて戦い、勝利を掴んだことはなにより大きいだろう。
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