86年組の意地――本田、長友、岡崎らはいかにして日本代表の中核を成していったのか?

カテゴリ:日本代表

塚越 始(サッカーダイジェスト)

2015年06月11日

柔軟さと一徹さを臨機応変に使い分けてプロの世界を生き抜く。

北京五輪のアジア予選突破を決めた時のU-23日本代表。反町監督の下で、本田や岡崎は様々なポジションを経験してプレーの幅を広げた。(C) Getty Images

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 やがて86年組の本田、岡崎、長友は日本代表の主力へ成長していく。
 
一方、85年組は総じて伸び悩み、これまでワールドカップのメンバーに選ばれたのはブラジル大会の伊野波雅彦(現磐田)のみ。最新のメンバーに選出されたのも、水本裕貴(現広島)だけだった。
 
 86年組の才能を引き出したひとりが、北京五輪代表チームを率いた反町康治(現松本監督)である。
 
 06年の反町体制の発足時は、やはり先のワールドユースに出場した85年組を重用した。しかし08年の北京五輪本番までに、レギュラーのほぼ全員が入れ替わった。ただその間、常に主力として起用されたのが本田だった。なにより彼の「吸収力」を、反町は高く評価していたのだ。
 
 ミスの原因を客観的に分析し、次の機会には修正する。昨日より今日、今日より明日と、なにかしら変化が見て取れた。自己主張しつつも自らを客観視できる本田の内面に、反町はプロ魂を感じ取っていた。
 
 結果、ボランチ、トップ下、サイドハーフ、CF、ウイングと、本田は五輪チームでも、その後のキャリアでも、あらゆるポジションで自らの特長を出しつつ、どの監督からも信頼を得た。かたやCSKAモスクワ時代にはトップ下でのプレーにこだわり、ポジションを守り抜いたこともある。柔軟さと一徹さを臨機応変に使い分けてきたのだ。
 
 その「吸収力」は他の86年組にも当てはまる。岡崎もCF、トップ下、サイドハーフ、ウイングと、所属先でチャンスを掴むために様々なポジションに貪欲に挑戦。やがてシュツットガルトで“プレス要員”のような扱いを受けて苦悩し、「結果=ゴール」にこだわると誓う。
 
 そう吹っ切ったあと、ゴール数はたちまち増えた。また長友は明治大でMFからSBへの転向を機に台頭。反町ジャパンでは当初控えだったが、周囲の技を貪欲に吸収し、爆発的な運動量をチームに還元する術を身に付けた。
 
 一方、85年組の代表格だった平山はFC東京に加入した06年以降、ルーカスらとの共存策を見出せず、もがき苦しんだ。城福浩監督時代にブレイクしかけたものの、結局、自らの殻を突き抜け切れず現在に至る。もちろん現代表でCFは人材難なだけに平山のロシア行きの可能性は十分あるが、これまでの歩みは、本田や岡崎とあまりに対照的である。
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