86年組の意地――本田、長友、岡崎らはいかにして日本代表の中核を成していったのか?

カテゴリ:日本代表

塚越 始(サッカーダイジェスト)

2015年06月11日

本田が初めて日の丸をつけたキッカケは左SBでのプレー

日本代表の攻撃陣の主軸を担う香川、本田、岡崎の3人。とりわけ本田、岡崎は南アフリカ・ワールドカップで日本の16強入りに貢献するなど、長く代表を牽引してきた。(C) SOCCER DIGEST

画像を見る

「努力に勝る天才はない。サッカーの巧さなら、天才と言える選手はいた。でも『持っている力』ではなく、『出す力』の強い選手が生き残ってきた。今の代表メンバーを見ると、まさにそう感じる」 そう語るのは、04年、本田に初めて日の丸をつける機会を与えた、当時のU-19日本代表監督の大熊清(現C大阪強化部長)だ。
 
 星稜高3年の本田は、石川県選抜として、本来のボランチではなく左SBとしてプレーしていた。その試合を視察した大熊は「ステップなしの強いキックで、いとも簡単にサイドチェンジしていた」と一目惚れ。チームに新たな活力をもたらすはずだと感じ、代表招集を決めたのだ。
 
 ひとつ年上の85年組には平山相太(現FC東京)、カレン・ロバート(現ソウル・イーランドFC)、増嶋竜也(現柏)、兵藤慎剛(現横浜)、中村北斗(現福岡)ら、高校サッカー界に新たな隆盛をもたらした実力派が揃っていた。05年6月のワールドユースに向け、大熊率いる年代別日本代表は、彼ら85年組を中心にベースが固まりつつあった。
 
 そんな先輩たちへ挑みかかるように本田は猛アピールを続け、本大会21人のメンバーに食い込む。迎えた地元オランダとの開幕戦では、レギュラーの梶山陽平(現FC東京)が怪我明けで万全でなかったこともあり、ボランチとして先発の座を掴んだ。
 
 ところが試合開始から守備に忙殺された本田は、64分に交代を告げられる。試合も1-2で敗戦……。するとその後の3試合、本田に再び出番が訪れることはなかった。対世界はおろか、チーム内の競争でも徹底的に差を突き付けられた試練の大会となった。
 
 一方、同じ86年組である滝川二高の岡崎慎司(現マインツ)は、年代別代表に呼ばれることさえなかった。むしろ同校で2トップを組んだひとつ年下の森島康仁(現磐田)のほうが高い評価を得ていた。東福岡高の長友佑都(現インテル)に至っては、ボランチとしてレギュラーの座さえままならず、無名に近い存在だった。
 
 いずれも大熊らスタッフのチェックリストには載っていたが、あくまで「代表候補」止まりだった。
 
 06年から10年までA代表のコーチを務めた大熊は、彼らの急激な成長を間近で目撃する。年齢のみならず、あらゆる面で子どもから大人へと変貌を遂げていったのだ。そんな86年組に大熊はある共通点を見出していた。
 
「自ら『学ぶ』、『やってやる』、『盗んでやる』と常に能動的だった。なにより彼らはサッカーに対し愚直だった。力のある選手に揉まれるなかで、いかにして高いレベルで力を出
すかというところを体得していった」
【関連記事】
本田がオーストリア3部のSVホルンを買収。一大プロジェクトの狙いとは?
【連載】ミラン番記者の現地発・本田圭佑「本田のミランへの貢献度をデータで計ってみよう」
日本中の期待を裏切った悪夢のW杯から1年。本田圭佑に課せられた使命
【日本代表】初スタメンが有力な宇佐美貴史。新たな「11番像」を築けるか
【日本代表】「サイドで出たい」激戦区に挑む原口元気の覚悟
【イラク戦プレビュー/予想スタメン付き】予行演習からいきなり本気モード!? 3トップは本田、岡崎、宇佐美か
ブンデス日本勢の2014-15シーズン総括|第3弾【岡崎慎司・清武弘嗣・酒井宏樹】

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト 唯一無二の決定版!
    2月15日発売
    2024 J1&J2&J3
    選手名鑑
    60クラブを完全網羅!
    データ満載のNo.1名鑑
    詳細はこちら

  • 週刊サッカーダイジェスト いざW杯予選へ!
    3月8日発売
    元代表戦士、識者らと考える
    日本代表の現在地と未来
    2026年へのポイントは?
    J1&J2全クラブ戦力値チェックも
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト 夏の移籍を先取り調査!
    3月21日発売
    大シャッフルの予感
    SUMMER TRANSFER
    夏の移籍丸わかり
    完全攻略本2024
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 高校サッカーダイジェストVo.40
    1月12日発売
    第102回全国高校選手権
    決戦速報号
    青森山田が4度目V
    全47試合を完全レポート
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ