そして今後、より困難を強いることになりそうなのは後者、ハイプレスへの対応だろう。

　昨年の親善試合ではＡ代表のメキシコも、後半の頭からプレッシャーをかけて日本を自陣へ押し込み、耐える中で日本は守備が決壊して失点してしまった。今回のホンジュラス戦も、日本は押し込まれる中でどうにか単純なクリアではなく、ボールを生かそうとした吉田麻也の浮き球パスが遠藤航にうまく通らず、ショートカウンターで決壊した。日本がやられるパターンは、だいたい共通している。押し込まれると弱い。

　東京五輪は猛暑とはいえ、五輪代表のメキシコも、アグレッシブに押し込む時間帯は必ず作ってくるはず。そこから、いかに脱出するかは大きな課題だ。

　答えのひとつは、63分に投入された前田大然だろう。三好や堂安が中盤に顔を出し、相手SBを引っ張り出したところで、そのサイドのスペースへ前田が流れる。これは前半に林大地も見せた動きだが、スピードスターの前田の場合、敵陣にスペースが広がった後半の状況にこそ適しているので、押し込まれた状況では絶好のオプションになる。とくに三好は、前田の特徴をよく理解し、精度の高いパスを出していた。
 

　一方では、前田を走らせるだけでなく、走らせた後のサポートも増やさなければならない。せっかく裏を突いてボールを引き出しても、前田のところで簡単に奪い返される場面が目についたからだ。そこで、もうひとつサポートしてラインアップすれば、逆に敵陣深くに押し返し、落ち着いて休む時間を作ることもできる。

　前田は外流れ、つまりゴールから離れる方向に縦パスを引き出しているので、ボールを一時は収めやすいが、その一方、一発でゴール方向に向かうのは難しい。それを踏まえた上で、前田が単発にならないよう、早いサポートが必要だろう。

　戦術的には、試合が何よりの成長機会だ。とくに今回、森保監督はホンジュラスのように早期の交代カードを切らず、行けるところまで選手を引っ張ってフルパワーを出させた。当然、入念な回復が必要であり、それを繰り返して本番のコンディションを作り上げるわけだが、そうなるともはや入念に戦術トレーニングを行なうことは難しい。大会に入れば、中２日の連戦なのでなおさらだ。試合で学び、試合で成長すること。それが何より重要になる。

取材・文●清水英斗（サッカーライター）

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