チームとしてゲームコントロールに課題を残し、腕章を巻く背番号22は勝利に導けなかったことに強い責任を感じていたのも事実だ。
 
「試合中に、チーム全体にそれ（先述した勝利への数々のアプローチ）を伝えていければ良かった。その責任は、ディフェンスラインにもあると思う」
 
　スローインの例をとれば、中澤はかなり細かい部分にまで言及している。もっともワールドカップなど国際舞台で結果を残してきただけに、“神は細部に宿る”ではないが、「勝敗を分けるのはそういうところ」という言葉には説得力がある。
 
　G大阪は３日前のACLのラウンド16第２戦でテンションの高いゲームをこなしている。当然、その影響による疲労度は小さくなく、なおかつ今野泰幸（出場停止）や岩下敬輔（怪我）ら主力メンバーを欠き、「調子の上がらないガンバにしっかり勝っておくのは大事」だった。
 
　決定機の数でも上回るなど、「勝点３を積み上げられるチャンスだった」。
 
　開幕から無敗で首位を走る浦和にしっかり食らい付く意味でも、横浜は是が非でもこの試合に勝ちたかった。しかし、細部を突き詰められないまま、勝点１しか奪えなかった。
 
　中澤は確かに辛口だった。だからこそ、ひとつの勝利にかける執念を感じずにはいられない。
 
　中盤の攻防で何度もピンチを未然に防いでは、カウンターの起点にもなるなど八面六臂の働きぶりを見せていた喜田拓也は「リーグ戦は続くし、ポジティブな方向に持って行けるかがチームの力だと思う。前向きにやっていきたい」と表情を引き締める。
 
　その原動力となるのが、中澤が指し示した飽くなき執念のような気がする。
 
取材・文：広島由寛（サッカーダイジェスト編集部）