「わだかまりは消えていない」デシャンがベンゼマを電撃復帰させた“真の理由”と招集によるリスク【現地発】

カテゴリ:ワールド

エル・パイス紙

2021年06月15日

ベンゼマはなぜデシャンの提案を受け入れたのか

 FFFのノエル・ル・グラエ会長は次期監督としてジダンの招聘を希望している一方で、デシャンはEURO以降も続投するかどうか胸の内を明かしていない(現行契約は2022年12月まで)。もちろん会長の意向も把握している。そんな中、自らの後任としてジダンが復帰すれば、真っ先に着手するのがベンゼマの招集であるのは火を見るよりも明らかだ。その関係者が舞台裏を解き明かす。

「デシャンがこのタイミングでベンゼマを復帰させたのは、心の広さをアピールしたかったからだ」

 つまるところ、デシャンはジダンの就任とベンゼマの招集という2つの事象によって自身の身に降りかかるだろう事態を見越して予防線を張ったと言える。

 では対するベンゼマはなぜデシャンの提案を受け入れたのか。その理由について同じくその関係者は「9月にはジダンが新監督に就任しているという考えがあるのだろう」と予想する。
 
 ベンゼマの復帰を検証する際に、特にチームの士気という点で無視できない要素が一つある。代わりにスタメンから弾き出される選手がオリビエ・ジルーであることだ。チェルシーのFWは、決してテクニックに秀でた選手ではない。しかしジルーは、その自らの欠点を逆手に取って守備に奔走し、前線で身体を張り続ける。

 デシャンの現役時代にステファヌ・ギバルシュというFWがいた。フランスが初の世界一に輝いた1998年W杯でも9番としてプレー。無得点に終わったが、優勝に貢献する働きを見せた。デシャンにとってジルーはそのギバルシュの系譜に連なる選手で、監督に就任して以来、理想の9番像として位置づけ、重用してきた。翻ってベンゼマはその対極に位置するストライカーだ。

 デシャンが、自らの理想に反してでも、ベンゼマの加入を追い風にして攻撃の流動性を高めることができるか。ベンゼマがマドリーで見せている姿と同等のモチベーションを持って大会に臨めるか。周囲の選手が5年半ぶりに復帰したかつての大黒柱のリーダーシップを受け入れるか。

 リスクをはらんでいるベンゼマの復帰だが、本人、指揮官、チームメイトが同じベクトルに向かって進むことができれば、フランス代表がこれまで欠けていた機能美という要素を加味してEUROを制する可能性も高まってくる。

文●ディエゴ・トーレス(エル・パイス紙)
翻訳●下村正幸

※『サッカーダイジェストWEB』では日本独占契約に基づいて『エル・パイス』紙のコラム・記事・インタビューを翻訳配信しています。
 
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