天才プレーヤーは短命か? Jの歴史などから読み解くジーニアスが生きる道

カテゴリ:Jリーグ

加部 究

2021年06月11日

天才の大敵は故障と自己管理。マラドーナは薬物に手を出し…

オランダ代表のエースだったファン・バステンも、膝の怪我に苦しみ……。29歳での引退を余儀なくされた。写真:Getty Images

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 天才という響きは、短命=儚さを想起させる。しかし世界的に天才の夭逝は、事故や薬物などの影響を受けたロック・ミュージシャンを初めとする芸術畑に多く、日本では不治の病とともに減少傾向にある。

 サッカー界で周知の天才の早逝となると、直近でも1958年のマンチェスター・ユナイテッドの航空機事故まで遡る。当時、イングランド随一の有望株だったダンカン・エドワーズも、生きていればもう84歳だ。

 一方で生命そのものではなく現役生活に視点を変えても、儚くて惜しまれた天才の引退例は、それほど脳裏から浮かび上がっては来ない。最も惜しまれたのは、バロンドールを3度獲得したマルコ・ファン・バステンの29歳での引退で、ラストゲームがチャンピオンズカップ(現行のチャンピオンズ・リーグ)決勝だったという事実が悲哀を帯びている。偉大なストライカーは、度重なるファウルの餌食となりついにヒザが悲鳴を挙げた。

 こうしてファン・バステンやディエゴ・マラドーナら非凡な才が悪質なファウルに痛めつけられる状況を背景に「フェアプレー・プリーズ」を謳い文句とした90年イタリア・ワールドカップでは、カードが急増するのだった。

 天才の大敵は故障と自己管理だ。どうしてもスタンドを魅了する芸術家は、対戦相手の最大の標的になる。また遊びの中で育って来た奔放な天才たちは、生活の急変にコントロール不能に陥りがちだ。

 ワールドカップを2度制した天才肌のドリブラーだったガリンシャは、アルコール依存症から身体を壊し49歳で早逝。2002年日韓ワールドカップで得点王に輝いたロナウドも、故障が相次ぎ三十路を前に肉がつき始めた。そしてマラドーナが薬物に手を出すようになったことも周知の事実だ。
 

 だがむしろ後から惜しまれる才能の大半は、なんらかの原因で世に出る前に消えている。天才の代表格とも言えるジーコが語っていたそうである。

「私より才能のある選手はいくらでもいた。しかし私のようにサッカーを最優先に考えて生活を送れる選手はいなかった」
 
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