プロフットボーラーにおける「天才の定義」。カズ、中田は天才なのか?

カテゴリ:連載・コラム

加部 究

2020年06月29日

天才は異端であり天邪鬼だ

かつて日本代表を牽引したカズ(三浦知良)、中田英寿は天才の部類に入るのか。(C)Jリーグフォト

画像を見る

 天才を育むには、それを見極める眼と環境が要る。バルセロナはリオネル・メッシを、レッドスターはドラガン・ストイコビッチ(愛称はピクシー)を発掘すると、指導スタッフは周知徹底したそうである。

「あいつはいじるな」

 概して天才はバランスが悪い。他競技に目を向ければ、ひとりで計23個の金メダルを獲得したマイケル・フェルプス(水泳)や短距離と走り幅跳びを両立させたカール・ルイス(陸上)などの例があるが、サッカー界で攻守万能な天才は見かけない。
 
 かつてイビチャ・オシムは言った。

「ロナウジーニョも守備をさせてしまえば、ロナウジーニョではなくなる」

 メッシもロナウジーニョも批判の矛先は「あまり走らない」ことだった。また札幌を指揮するペトロヴィッチ監督も、ある試合後の会見で「小野伸二が全力疾走をするのを久しぶりに見た」とジョークに少し毒を塗した。だが裏返せば、彼らはこれほど運動量が求められる時代に、明らかな減点を相殺してもあり余る価値を創出してきた。そもそも斯界に、素走りが大好きな天才はいない。異次元の緩急で何度も相手を置き去りにしてきたヨハン・クライフも例外ではない。

「人が走るよりボールを走らせればいい」

 やはり球技の天才は、ボールを愛し、ボールに触れることで違いを生み出す。もちろんペレのように「ひとりスルー」でGKを欺くこともあるが、それもボールに触れれば無敵なキングの威圧感が大前提になる。

 さてこれだけ記しただけでも、いかに日本では天才が育ち難いかがわかる。天才は異端であり天邪鬼だ。敢えてコーチの指示とは別の選択をして、それ以上の解決策を見つけ出してしまう。ピクシーは、そこで度量の広い指導者に誉められ続けたから才能が開花した。だが残念ながら日本では、少年時代からチームの勝利が優先され、個々の探求心がへし折られて来た。幼少期からチームへの献身が過度に強調されれば、良い労働者は生まれてもプロで輝く武器は磨けない。
 
【関連記事】
小野伸二は「日本の宝」で「最高傑作」。“J歴代ベスト11”で称賛の嵐! 中村俊輔も「シンジしかいない」と認める
「化け物」「リアルキャプテン翼だ」久保建英が披露した衝撃の“ダブルタッチ3人抜き”にファン興奮!
知らない世代に伝えたい。"絶頂期のカズ”は半端ないを通り越して神がかっていた
惚れ惚れする才能。あとちょっとの運さえあれば、大島僚太はいずれ日本代表を支配できるマエストロになれる
【日本代表】ストライカー不遇の法則。佐藤寿人、豊田陽平…それでも代表監督に愛されなかった理由

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト 2026年7月・8月合併号
    6月3日(水)発売
    [特集]
    北中米ワールドカップへ
    日本代表展望&ガイド
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト 2026年6月18日・7月2日合併号
    6月4日(木)発売
    [特集]
    2026 北中米ワールドカップ
    出場48か国コンプリートガイド
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 第104回大会 決戦速報号
    1月16日発売
    高校サッカーダイジェストvol.44
    ワールドサッカーダイジェスト2026年2月19日号増刊
    第104回全国高校サッカー選手権大会 決戦速報号

    [MATCH REPORT]
    1回戦から決勝まで全47試合を完全詳報

    [HEROES FILE]
    第104回大会を彩った”48名の逸材”を厳選
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ