株式譲渡をめぐる競争は6月以降に勝負のヤマ場を迎える。
とにかく全ては未定、何が起こってもおかしくない。しかし我々「ガゼッタ・デッロ・スポルト」は、依然として本田が来シーズンのミランの基礎となる選手だと考えている。しかし、それより先の話となってくると、まずミランの株の売却問題に触れなければならない。
シルビオ・ベルルスコーニ・オーナーは先日、初めて公に、株の過半数を売却する可能性に言及した。その譲渡先の候補は、相変わらず2人。1人目は中国、シンガポール、そしてアラブ首長国連邦にまで影響力を持つタイ人ブローカーのビー・テチャウボン氏で、彼はミランの60パーセントの株を買うために5億ユーロの用意があるという。
そしてもうひとりは、中国人の企業家グループ。彼らの背景には、ミランを中国サッカー発展の起爆剤にしようと画策している中国政府の姿も垣間見える。中国サイドのオファーは5億8千万ユーロで、ミランの株の51パーセント取得を目指している。
現時点では、金額面で中国側が有利だが、まだまだ裏では様々な駆け引きが続いている。「ミスター・ビー」は毎日のように会見を開き、すでにミランのオーナーになったような発言を続けているが、これがベルルスコーニ・オーナーとフィニンベストグループを苛立たせていることは確かだ。
このミランの株譲渡をめぐる競争は、おそらく6月以降が勝負のヤマ場となるだろう。なぜなら、その前に州選挙があり、ベルルスコーニ・オーナーはフォルツァ・イタリア党のリーダーとして政治活動に勤しまなければならないからだ。全てのカタをつけるのは、新シーズンに向けてのサマーキャンプが始まる7月10日頃までと見ているのだろう。
しかし、こういったクラブの不安定な状態は、当然ながら選手たちにあまり良い影響を与えていない。これについて、一番正直な感想を述べているのはクリスティアン・サパタだ。
「チームの行く末がはっきりしないと、チームの出来不出来にも影響してくる」
一方、あとの選手たち、そしてフィリッポ・インザーギ監督は、この問題については常套句をもって逃げている。
「ベルルスコーニ・オーナーは必ず、ミランにとって最良の道を選んでくれるはずだ」
ミランの元選手たちに至っては、もっとずっと冷静だ。例えば、ミスター・ビーが株主になった場合、チーム幹部に入るといわれているパオロ・マルディーニは、こうコメントしている。
「ミランに外国人投資家? 本当にそれなりの金額を出せるなら、もちろん賛成だ」
アンドリー・シェフチェンコは少し感傷的だ。
「僕にとってのミランとは、ベルルスコーニ・オーナーそのもの。だから、彼が残った状態でミランがまたトップクラスに戻れるのが一番の理想だ」
しかし現時点で、ベルルスコーニがオーナーとしてミランに残ることについて一番懐疑的なのは、他ならぬベルルスコーニ自身なのかもしれない。
文:マルコ・パソット(ガゼッタ・デッロ・スポルト)
協力・翻訳:利根川晶子
Marco PASOTTO/Gazzetta dello Sport
マルコ・パソット
1972年2月20日、トリノ生まれ。95年から『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙で執筆活動。2002年から8年間ウディネーゼを追い、10年より番記者としてミランに密着。ミランとともにある人生を送っている。
シルビオ・ベルルスコーニ・オーナーは先日、初めて公に、株の過半数を売却する可能性に言及した。その譲渡先の候補は、相変わらず2人。1人目は中国、シンガポール、そしてアラブ首長国連邦にまで影響力を持つタイ人ブローカーのビー・テチャウボン氏で、彼はミランの60パーセントの株を買うために5億ユーロの用意があるという。
そしてもうひとりは、中国人の企業家グループ。彼らの背景には、ミランを中国サッカー発展の起爆剤にしようと画策している中国政府の姿も垣間見える。中国サイドのオファーは5億8千万ユーロで、ミランの株の51パーセント取得を目指している。
現時点では、金額面で中国側が有利だが、まだまだ裏では様々な駆け引きが続いている。「ミスター・ビー」は毎日のように会見を開き、すでにミランのオーナーになったような発言を続けているが、これがベルルスコーニ・オーナーとフィニンベストグループを苛立たせていることは確かだ。
このミランの株譲渡をめぐる競争は、おそらく6月以降が勝負のヤマ場となるだろう。なぜなら、その前に州選挙があり、ベルルスコーニ・オーナーはフォルツァ・イタリア党のリーダーとして政治活動に勤しまなければならないからだ。全てのカタをつけるのは、新シーズンに向けてのサマーキャンプが始まる7月10日頃までと見ているのだろう。
しかし、こういったクラブの不安定な状態は、当然ながら選手たちにあまり良い影響を与えていない。これについて、一番正直な感想を述べているのはクリスティアン・サパタだ。
「チームの行く末がはっきりしないと、チームの出来不出来にも影響してくる」
一方、あとの選手たち、そしてフィリッポ・インザーギ監督は、この問題については常套句をもって逃げている。
「ベルルスコーニ・オーナーは必ず、ミランにとって最良の道を選んでくれるはずだ」
ミランの元選手たちに至っては、もっとずっと冷静だ。例えば、ミスター・ビーが株主になった場合、チーム幹部に入るといわれているパオロ・マルディーニは、こうコメントしている。
「ミランに外国人投資家? 本当にそれなりの金額を出せるなら、もちろん賛成だ」
アンドリー・シェフチェンコは少し感傷的だ。
「僕にとってのミランとは、ベルルスコーニ・オーナーそのもの。だから、彼が残った状態でミランがまたトップクラスに戻れるのが一番の理想だ」
しかし現時点で、ベルルスコーニがオーナーとしてミランに残ることについて一番懐疑的なのは、他ならぬベルルスコーニ自身なのかもしれない。
文:マルコ・パソット(ガゼッタ・デッロ・スポルト)
協力・翻訳:利根川晶子
Marco PASOTTO/Gazzetta dello Sport
マルコ・パソット
1972年2月20日、トリノ生まれ。95年から『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙で執筆活動。2002年から8年間ウディネーゼを追い、10年より番記者としてミランに密着。ミランとともにある人生を送っている。