本田2アシスト!! 全員が戦ったミランは今年最高の出来で勝利――ミラン 2-1 ローマ

カテゴリ:ワールド

サッカーダイジェストWeb編集部

2015年05月10日

決定的な仕事を果たした本田。それ以上だったローマの10番。

久々に躍動した本田。幾度かパスがずれることもあったが、ボールに多く触れたことで効果的なプレーを量産した。 (C) Getty Images

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先制点の起点となり、決勝点は気迫溢れるヘッド(写真)。守備でも奮闘したデストロは、古巣相手に満足のいくプレーを見せた。不甲斐ないプレーで交代させられ不満を露にした前節とは対照的だった。 (C) Getty Images

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 セリエA第35節、ミランはローマを2-1で下し、連敗を3で止めるとともに、29節パレルモ戦以来の白星を飾った。
 
 開始1分に満たない時点でジェルビーニョに左サイドを破られてあわやの場面を迎えた際には、過去3戦同様の悲惨な展開も予想された。実際、序盤のミランはローマのプレッシャーの前にまともにボールを持てず、再三にわたって危険に晒されていた。
 
 連敗を止めなければならないという各選手の思い、マッティア・デストロにすれば今冬まで所属したチームが相手という特別な気持ちが、それぞれ力みに繋がったのか、ミランは個々のボールコントロールも拙かった。攻撃時に縦パスが入っても収まりが悪く、そこから展開することもできない。
 
 しかし見方を変えれば、力みは過度の意気込みの表われでもあり、徐々にそれが良い方向にミランを導いていく。選手が積極的にボールを追ってプレッシャーをかけると、ローマは不思議なほど急激にトーンダウン。徐々にミランは良い位置でボールを奪い、相手陣内に侵入できるようになっていった。
 
 本田圭佑はそんな展開のなかでボールを何度も受け、前を向いてプレーできた。12分にはルカ・アントネッリの頭でのパスを受け、ダイレクトボレーでチームのファーストシュートを放ち、17分にもドリブルからロングシュートまで持ち込んだ。
 
 とはいえ、それ以外のプレーでは、周囲のフォローがない状況で無難にボールを後方に戻すか横に流すだけと、効果的なものはなかった。無理に仕掛けても数的有利の相手にボールを奪われ、そこから即ピンチを迎える危険があったからだろうが、消極的とも映るそのプレーにはもどかしさも感じられた。
 
 しかし36分、本田が起点になってジャコモ・ボナベントゥーラが決定的なヘディングシュートを放った場面から、状況は変わった。MFの押し上げなども出てきて、ミランにはいくつか攻撃での選択肢が生まれたのである。
 
 そして39分、デストロがチェイシングで奪ったボールを受けた本田が右サイドをドリブルで進み、じっくり溜めてから中央に入れると、これが走り込んだマルコ・ファン・ヒンケルにぴったりと合った。それぞれの良さが出たかたちで、ミランは欲しかった先制ゴールを手に入れた。
 
 ローマがおかしかったのは事実である。前節までのミランのように、全く中盤でプレッシャーをかけられず、相手に自由なプレーを許していた。加えてジェルビーニョを前半途中に負傷で欠くなどのアクシデントも、ローマのプランを狂わせてしまったのかもしれない。途中からは個々の凡ミスや判断ミスも目立つようになった。
 
 ただ、それを差し引いても、ミランが2015年に入って最も良いプレーを見せたのは事実だ。守備では、ただいるだけで相手にプレッシャーをかけられなかった前節までとは違い、今回は絞り込みもうまくいき、ローマのボールホルダーを慌てさせた。
 
 攻撃は決してハイレベルとは言い難いものの、守備が機能して何度も良い位置・良いかたちでボールを得、幾度もローマ陣内を侵攻してゴール前にボールを入れることで、可能性を見出していった。やはり、シュートにせよ、センタリングにせよ、ゴール前にどれだけボールを入れるかが、今のミランのようなチームには重要である。
 
 そんなミランのなかで、重要な役割を果たしたのが本田だ。58分には右サイドから相手DFをフェイントでかわし、右足の丁寧なクロスでデストロのゴールをアシスト。初めて1対1で仕掛けて勝ち、貴重なゴールを生み出した。誰よりも気合いが入っていたであろうCFに点を取らせたということも、チームにとっては重要だった。
 
 2アシストと、勝利の殊勲者となった本田。相手にとって脅威となるプレーを繰り返し、久々に決定的な仕事を果たした。
 
 とはいえ、70分にピッチに立ったローマのフランチェスコ・トッティはすぐに試合の流れを変え、自らチャンスを創出して得たPKを決めるなど、圧倒的な存在感と“違い”を示しており、同じ背番号10として本田にはさらなる進歩が必要であることも同時に感じさせられた。
 
 試合終了間際には、執拗な猛抗議でフィリッポ・インザーギ監督が退席するなど、まさに全員が戦い、ミランは久々に勝利を得た。

 ひとつのプレーで勇気を得、先制ゴールで勢いに乗った試合だったが、以前にインザーギ監督が「勝利こそが何よりの薬」と語ったように、ミランはここから調子を上げ、悪夢のようなシーズンを良いかたちで締めることができるか。

全員が戦って勝利したミラン。判断の拙さはあったものの、自信を喪失させるような凡ミスがほとんどなかったのは過去3戦と大きく違っていた。 (C) Getty Images

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ミランの出来云々より、ローマは一体どうしてしまったのか、と思わせる試合でもあった。スクデットを逃した理由も分かる内容だった。 (C) Getty Images

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