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連載|熊崎敬【蹴球日本を考える】戦術・技術で敵を圧倒した柏。肉弾戦でも戦う姿勢を失わず

カテゴリ:Jリーグ

熊崎敬

2015年04月23日

舐められたら終わりだ、という勝負への厳しさが柏には根づいている。

後半は一転、全北が攻勢に出る。終盤はラフプレーも横行したが、柏は戦う姿勢を失わなかった。写真:佐藤明(サッカーダイジェスト写真部)

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 後半に入っても柏のリズムは変わらない。だが、60分過ぎから雲行きが怪しくなった。67分にイ・ドングッに強烈なオーバーヘッドを決められると、79分にもふたたびイ・ドングッにミドルを捻じ込まれ、気がつけば1点差に。勝負は分からなくなった。
 
 最初の60分、ゲームを支配したのは柏の精密な戦術、技術だった。だが、残り30分は全北の時間となる。彼らは韓国屈指のストライカーであるイ・ドングッの決定力と局面での荒々しさによって、柏を捻じ伏せようとしたのだ。
 
 後ろから突き飛ばす、すれ違いざまに膝を当てる、スパイクの裏を見せたタックルを繰り出す……。
 それは日本勢がもっとも苦手とするゲーム。だが、柏は弱腰にはならなかった。危険なタックルを見せた敵にクリスティアーノが食ってかかり、工藤も加勢する。舐められたら終わりだ、という勝負に対する厳しさが柏には根づいている。それは過去4年半、チームを率いたネルシーニョの遺産だ。
 
 戦術と技術で敵を圧倒した柏は、肉弾戦に引きずり込まれても戦う姿勢を失わなかった。上手さと泥臭さの両面を持っているから、ACLでも結果を残すことができるのだ。
 
 この一戦を見て、私はふたりの評価を素直に改めることになった。
 
 ひとりは茨田。いままで関係者から、その才能を高く評価する声を聞いていたが、私は懐疑的だった。その彼に、吉田監督はチームの舵取りを託す。正直、荷が重いのでは……と思ったが、この大一番で彼は十分にできることを証明した。
 
 もうひとりは吉田監督。育成部門の充実は、この人の存在抜きには語れないが、トップチームの監督は初体験。偉大な前任者ネルシーニョと比較されるなかで結果を出すことができるかどうか。
 だが40歳の指揮官は冷静に状況を判断し、現実に徹する場面と理想を貫く場面を巧みに使い分けながら、柏をベスト16に導いた。
 
 今季もまた、アジアで輝くのは柏の太陽かもしれない。

取材・文:熊崎 敬
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