今年、京都の東山高から加入した鎌田は、入団後すぐに才能の高さを見せつけた。
「プレーも落ち着いているし、堂々としている。すぐに出番があると思った」
こう語るのは、守護神の林彰洋だ。経験豊富な林の目をもってしても、この高卒ルーキーが持つポテンシャルは際立っていた。
威力・精度ともに十分のキックを両足に備え、180センチの高さと強さを持ちながらも、足下の技術にも長けている。そうした個の能力を活かして1.5列目の位置から高い攻撃力を披露する。
高校時代から、潜在能力の高さを評価され、高2の時にはプリンスリーグ関西で圧巻のプレーを見せて、プレミアリーグ昇格に貢献。昨年、チームは1年でプリンス降格の憂き目に合ったが、それでも鎌田は10得点を挙げ、得点ランキング4位タイにつけてみせた。
高3時には、プロ入り後の展望をこう語っていた。
「大学を卒業したらもう22歳。22歳でプロでは世界的に見たら遅い。高校から直接Jリーグに行って、1年目から出ることが理想」
そして鳥栖入団を勝ち取った鎌田は、念願のルーキーイヤーでのトップデビューも果たし、まずは「試合に出る」という目標を早々に実現させた。
本来はトップ下だが、この試合はボランチで出場。「ボランチ起用でびっくりしましたが、落ち着いてやれた」と語ったように、中盤のボールの収まりどころとして機能。13分には浮き球の縦パスを通すと、41分にはドリブルで相手3人に囲まれながらも、落ち着いてボールキープ。そのプレーぶりはデビュー戦とは思えないほど、堂々としていた。
後半途中には本来の1.5列目にポジションを変え、積極的に裏のスペースに飛び出した。ゴールとはいかなかったが、その存在感は絶大で、試合後のミックスゾーンでは、「あの24番は何者なんだ?」と、居合わせた報道陣たちの舌を巻かせた。ミックスゾーンに姿を現わすと、たちまち大勢の報道陣に囲まれた。
「開幕の時から『なぜ俺を使わないんだ』と思っていた。森下監督とも1時間話し合ったりもした。こうして試合に出られて嬉しい」
思っていることをはっきりと口にできる彼のキャラクターは健在だった。
そして、指揮官もまた、鎌田の能力の高さを改めて実戦で確認できたようだ。
「彼にはセントラルMFとして、ゲームを支配できる選手になってほしいと思っている。彼はゲームを決定づけられるような能力を持っている。これからもっと中央で君臨するようなプレーをしてほしいし、できると思っている」
試合後、森下仁志監督が大きな期待をはっきりと口にしたように、まさしく将来の鳥栖の『エース候補』に指名された鎌田。18歳のルーキーが、未来への確かな第一歩を踏み出した。
取材・文:安藤隆人
■試合の結果
FC東京 2-0 鳥栖
得点者/F=三田×2(18・57分)
■ナビスコカップ 4節の結果
Aグループ
FC東京 2-0 鳥栖
甲府 2-2 新潟
松本 2-4 広島
Bグループ
清水 2-1 仙台
名古屋 1-0 横浜
神戸 0-0 川崎
■順位表
Aグループ
順位 | チーム | 勝点 | 試 | 勝 | 分 | 敗 | 得 | 失 | 得失差 |
1 | FC東京 | 7 | 3 | 2 | 1 | 0 | 5 | 2 | 3 |
2 | 広島 | 5 | 3 | 1 | 2 | 0 | 6 | 4 | 2 |
3 | 湘南 | 5 | 3 | 1 | 2 | 0 | 3 | 2 | 1 |
4 | 新潟 | 5 | 4 | 1 | 2 | 1 | 4 | 4 | 0 |
5 | 松本 | 4 | 4 | 1 | 1 | 2 | 7 | 8 | -1 |
6 | 鳥栖 | 4 | 4 | 1 | 1 | 2 | 2 | 4 | -2 |
7 | 甲府 | 1 | 3 | 0 | 1 | 2 | 3 | 6 | -3 |
Bグループ
順位 | チーム | 勝点 | 試 | 勝 | 分 | 敗 | 得 | 失 | 得失差 |
1 | 名古屋 | 10 | 4 | 3 | 1 | 0 | 10 | 6 | 4 |
2 | 神戸 | 5 | 3 | 1 | 2 | 0 | 3 | 1 | 2 |
3 | 山形 | 4 | 3 | 1 | 1 | 1 | 7 | 7 | 0 |
4 | 川崎 | 4 | 3 | 1 | 1 | 1 | 3 | 3 | 0 |
5 | 仙台 | 4 | 4 | 1 | 1 | 2 | 4 | 5 | -1 |
6 | 横浜 | 3 | 3 | 1 | 0 | 2 | 2 | 2 | 0 |
7 | 清水 | 3 | 4 | 1 | 0 | 3 | 3 | 8 | -5 |