三浦知良の美学――信頼と緻密な計算が生み出す“カズゴール”

カテゴリ:Jリーグ

広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

2015年04月19日

カズは常にギリギリのところで勝負している。

シーズンを通してハイパフォーマンスを披露するためにも、時には休息を取ることも視野に入れながら、カズは今も走り続ける。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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 自分のなにがストロングなのかを理解し、日々の練習でその武器を磨き、そして仲間との厚い信頼関係がある。昨季はわずか2試合で合計4分の出場時間しか与えられなかったが、今季は早くも量産態勢を期待させるだけのパフォーマンスを見せている。
 
 もっとも、長いシーズンを考えれば、ずっと“飛ばす”つもりはない。8節を終えた時点で2得点のカズは6試合に出場し、この長崎戦を含めれば、3試合連続スタメンは今季初だ。開幕からコンスタントに出場機会を伸ばしている一方で、「もしかしたら、どこかで休まなければいけない時もあるかなと思っている。(プレーは)できているけど、見えないところで疲労は溜まってきているし、負担も大きくなっているのは正直、感じている部分ではある。それはしょうがない。本当はずっと出たいけど」と、結果を出しているからといって、無理はしないつもりだ。
 
「今日は朝から(コンディションは)良かった。でも、明日はどうなるか分からない。毎日、毎日が本当に……起きてみないと分からないので」
 
 ゴール前の攻防と同じように、カズは常にギリギリのところで勝負している。ピッチに立つために一切の妥協を許さずにトレーニングに励むだけでなく、必要とあれば、昔から変わらぬ“サッカーをしたい”という欲望を抑えて、休むことも決断する。
 
 すべては「良いパフォーマンスを続ける」ためだ。
 
 年齢は関係ない、と言うのは簡単だが、誰もがそれを実践できているわけではない。しかし、カズがそれを体現してみせているのは誰もが認めるところだろう。自分の年齢から目を背けず、真正面から受け止めている。「48歳って中途半端だから、もう50歳と書いていいですよ。早く50歳になりたいです(笑)」とジョークを飛ばせるのも、自分に確かな自信があるからだろう。
 
 カズはどこまで走り続けるのか――。期待に応え続ける男のさらなる活躍が楽しみでならない。

取材・文:広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)
 
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