連載|熊崎敬【蹴球日本を考える】プロフェッショナルとして生きる、三浦知良の矜持

カテゴリ:Jリーグ

熊崎敬

2015年04月05日

いつも「今日が最後」との想いを抱きながらプレーしている。

首位の磐田を相手に48歳とは思えない打点の高いヘッドで先制点を挙げたカズ。久々に飛び出したカズダンスにスタジアムは沸き上がった。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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 花散らしの雨が降る三ツ沢で、カズのヘッドが炸裂した。
 
 首位を走る磐田との一戦、それは14分のことだった。右サイドを攻め上がった小池純輝が、フィーゴのようなドリブルからクロスを上げる。それはゴール前に待ち構えるDF櫻内渚が弾き返すかと思われた。だが、少し遅れて飛び込んできた背番号11が、滞空時間の長いヘッドで競り勝つ。次の瞬間、ボールはネットを揺さぶっていた。

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 1年5か月ぶりのゴール。それは自身が持つJリーグ最年長得点記録を更新する48歳でのゴールだった。
 
 試合後、カズはこの得点について語った。
 
「ドンピシャのボールが来ました。ホームのサポーターの前で決められて幸せです。今季はペナルティエリアで仕事をしなきゃいけないと思って、かなりハードにトレーニングを積んできた。FWはゴールの瞬間にすべてを賭けて勝負しているので」
 
 48歳という年齢について尋ねられると、「今日が最後という気持ちでいつもやっている」と真剣な表情で話した。思わぬ言葉に記者たちの間に沈黙が流れると、「でも終わらないですよ」と悪戯っぽい笑みを浮かべた。
 
 もっとも、「今日が最後」という想いは冗談ではない。この日は今季出場した4試合のなかで、一番コンディションが悪かったという。寝ついた時にはなにもなかった身体が、朝起きた時に悲鳴を上げることがあるというのだ。
 
「今までも急におかしくなることがあって、本当になにがあるか分からない。歳を取ってきたのかなあと」
 
 大勢のメディアに囲まれたカズはゴールのこと、年齢のことを尋ねられるままに語った。だが、一番こだわっていたのは別のことだ。
 
「強いジュビロを相手にホームで2点リードしたのに、あんな形で逆転されて悔しい」
 
 2-3で敗れたことを心底悔しがっていた。なによりも悔いていたのは、前半終了間際の失点だった。味方が敵陣で倒れたため、横浜FCはプレーを切ろうとタッチラインの外にボールを蹴り出そうとした。だがボールはラインを割らず、そこからの逆襲を受け、小林に追撃のFKを叩き込まれてしまったのだ。
 
「僕らは経験豊かな選手が揃っているのに、あの時ははっきりとプレーを切ることができなかった。2-0のまま折り返せなかったことについて、自分もあの場にいたわけだから非常に反省している。せっかくゴールできたんだから、勝ち切らなきゃいけない」
 
 ストライカーとしてゴールを決められたことは、たしかに嬉しい。だが、ゴールの喜びよりも負けた悔しさのほうが大きいのだ。
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