5か月で終焉を迎えたポルトガルでの挑戦
再起を期したチャレンジは、しかし、わずか5か月で終わりを迎える。自分で自分の首を絞める決定的な過ちを犯したのは、リーグカップのモレイレンセ戦(グループステージ)だった。
1-1で迎えた後半アディショナルタイム、スポルティングはPKのチャンスを得る。PKキッカーはチリ代表のマティアス・フェルナンデスに決まっていたが、何を思ったかボジノフはボールを手放さず、チームメイトの制止を振り切ってペナルティースポットに立つと、この大事なPKを蹴ってしまう。
決まればまだよかった。だが、シュートはあえなくセーブされ、試合は引き分けで終了。ホームのファンからはブーイングの嵐が吹き荒れ、クラブ内からは怒りの声が上がり、それから出場機会が与えられることはなかった。
それまでの6年間、1本のPKも決めていなかったのに、なぜ強行したのか。文字通りの乱心だった。
こうしてスポルティングを追われると、その後はセリエB、ブルガリア、セルビア、中国2部リーグ、スイス、クロアチアを渡り歩き、現在に至るまでの9年間で所属したクラブは延べ14に上る。
20年9月から在籍するレフスキ・ソフィア――三度目の在籍だ――では、今シーズンここまでたった16分間の出場と戦力になっていない。ストイチコフの再来、新たなルーニーと期待された逸材も、2月で35歳になる。どちらにもなれなかったことは、誰の目にも明らかだ。
才能を浪費してしまったという悔いが、本人にもあるようだ。18年2月のリエカ加入時に語った言葉が印象に残る。キャリアを振り返る記者の質問に対して、 「後ろは向かない。後悔はなにひとつない」と素っ気なく答えたのは、自責の念からに違いない。
天賦の才を無駄にしてしまったのは、プロとしての自覚、覚悟がなかったからだ。つまりメンタリティーの問題だ。ピッチでのハードワークより、その外でのパーティーライフにうつつを抜かし、フットボールに真摯に取り組むことがなかった。そう、こうなったのは誰のせいでもない、すべて身から出た錆だ。
文●ウラジミール・ノバク
訳●松野敏史
※『ワールドサッカーダイジェスト』2021年1月21日号より転載
1-1で迎えた後半アディショナルタイム、スポルティングはPKのチャンスを得る。PKキッカーはチリ代表のマティアス・フェルナンデスに決まっていたが、何を思ったかボジノフはボールを手放さず、チームメイトの制止を振り切ってペナルティースポットに立つと、この大事なPKを蹴ってしまう。
決まればまだよかった。だが、シュートはあえなくセーブされ、試合は引き分けで終了。ホームのファンからはブーイングの嵐が吹き荒れ、クラブ内からは怒りの声が上がり、それから出場機会が与えられることはなかった。
それまでの6年間、1本のPKも決めていなかったのに、なぜ強行したのか。文字通りの乱心だった。
こうしてスポルティングを追われると、その後はセリエB、ブルガリア、セルビア、中国2部リーグ、スイス、クロアチアを渡り歩き、現在に至るまでの9年間で所属したクラブは延べ14に上る。
20年9月から在籍するレフスキ・ソフィア――三度目の在籍だ――では、今シーズンここまでたった16分間の出場と戦力になっていない。ストイチコフの再来、新たなルーニーと期待された逸材も、2月で35歳になる。どちらにもなれなかったことは、誰の目にも明らかだ。
才能を浪費してしまったという悔いが、本人にもあるようだ。18年2月のリエカ加入時に語った言葉が印象に残る。キャリアを振り返る記者の質問に対して、 「後ろは向かない。後悔はなにひとつない」と素っ気なく答えたのは、自責の念からに違いない。
天賦の才を無駄にしてしまったのは、プロとしての自覚、覚悟がなかったからだ。つまりメンタリティーの問題だ。ピッチでのハードワークより、その外でのパーティーライフにうつつを抜かし、フットボールに真摯に取り組むことがなかった。そう、こうなったのは誰のせいでもない、すべて身から出た錆だ。
文●ウラジミール・ノバク
訳●松野敏史
※『ワールドサッカーダイジェスト』2021年1月21日号より転載