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加速する若手の海外移籍――ビッグクラブ傘下入りと中小クラブからのスタート。飛躍への第一歩に最適な環境は?

カテゴリ:連載・コラム

元川悦子

2021年01月31日

中小クラブで信頼を勝ち取ってステップアップした中村、松井、本田、吉田…

 ビッグクラブへのレンタルバックが困難な道のりならば、やはり中小クラブを振り出しにして、地道にステップアップしていく方がベターなのかもしれない。当時フランス2部だったル・マンを皮切りに、同1部のサンテチェンヌやグルノーブルでプレーした松井大輔(サイゴンFC)も「僕の場合は最初、京都サンガからのレンタルでしたけど、必死に頑張ってクラブ内外の評価を上げ、結果を出し、完全移籍を勝ち取った。町にも愛されたし、自信もつきました。そうやって評価も上げていく過程が大切なんです」と強調していた。

 2004年に彼がル・マンに赴いた頃を振り返ると、通訳どころか英語を話せるスタッフもほぼいないなか、大柄で屈強な外国人選手と粘土質のグチャグチャのピッチで戦うところから、すべてが始まった。アフリカから大挙してやって来る選手たちは「成り上がってやる」と目をぎらつかせ、練習中からパスを出さず、試合になればすべて自分でシュートまで持ち込んで打ってしまうようなエゴイストばかり。そういう中で信頼を勝ち取り、自分がやりやすい環境を作っていくのは、本当に至難の業なのだ。

 レッジーナ時代の中村俊輔(横浜FC)にしても、VVVフェンロ時代の本田圭佑や吉田麻也(サンプドリア)にしても、欧州キャリアの第一歩で似たような経験をしている。とりわけ本田は2008年1月にオランダに渡り、わずか半年で2部降格を経験。翌シーズンもクラブに残り、なりふり構わずプレーしたのだ。

「同僚FWの(サンドロ・)カラブロから『お前はいつもパスして走ってるけどシュートは決めへん。決めているのはユーチューブの中だけだ』とバカにされている。俺はカラブロに『お前は下手くそだ。パスもできねえ。身体を抑えて振り向いてシュートしかねえ』と言い返すけど、『それが俺のクオリティなんだ。それ以外のことを俺に求めてどうするんだ』ってキッパリなんですね。こんな日本人が出てきたら凄いなって印象です」

 当時の本田はオランダ2部の現実を痛感。これを機にゴールへの意識を研ぎ澄ませ、いい意味でのエゴイストへと変貌を遂げた。むしろ過酷な環境に身を投じ、もがきながら自己研鑽をしたことが奏功したと言っていい。

 彼らのように「どんな困難に直面しても、自分なりに力強く打開していく力」がなければ、欧州CLなどの大舞台でインパクトを残せる選手にはなれない。それは紛れもない事実だろう。

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