今川監督は「東海大が勝てるとしたらこういうパターンという試合をやってくれた」
試合の流れの転換期となったのは、68分のプレーだった。東海大はカウンターからMF丸山智弘の縦パスを受けたFW武井成豪が右サイドをドリブル突破し、右CKを獲得。このCKから2度のCKとロングスロー1回でゴール前に迫り、ボールを法政大陣内に押し留めた。
そして72分、左CKを一度はヘッドでクリアされるが、こぼれ球をすかさず左MFの高田悠が拾い、右サイドのスペースにドリブルを仕掛ける。高田はマークにきた長谷川を鋭い切り返しで交わすと、ペナルティエリア内に浸入して、左足シュート。GK中野が弾いたボールを水越が滑り込んで豪快に蹴り込んだ。
自分たちの時間帯になったタイミングを逃さずに波状攻撃を仕掛け、ついに法政大のゴールをこじ開けた。
直後のキックオフから法政大も決定機を作った。ハーフライン付近でボールを受けた長谷川が、背後に抜け出した途中出場のFW佐藤大樹へ浮き球のスルーパス。これを佐藤がDFふたりに囲まれながらも滑り込んで左足でシュート。ボールはゴール右ポストを強襲し、跳ね返りをGK宮﨑浩太朗がガッチリと抑えた。
この4分間が勝負の行方を完全に左右した。この決定機を皮切りに法政大は再び東海大を押し込むも、83分に左CKからペナルティエリア内で途中出場のMF服部剛大がフリーでシュートを放つが、これは3人がかりでシュートブロック。86分、右サイドで途中出場のFW飯島陸が粘った折り返しを、佐藤がフリーで狙うが、枠を捉えきれず。最後まで東海大の堅い守りをこじ開けられないまま、試合はタイムアップの時を迎えた。
「予想通り質の高い攻撃を持っていて劣勢になることは予想していたが、それを遥かに上回る劣勢に追い込まれて、技術とスピードに前半は慣れることができなかった。でも、後半から我々の持ち味である守備とカウンターでペースが変わって1点取って守り切った。東海大が勝てるとしたらこういうパターンという試合をやってくれたと思います」
試合後、20年前に東海大の指揮を執って総理大臣杯優勝を果たし、今年監督に復帰をした今川正浩監督が口にしたように、東海大はまさに必勝パターンを全員の力で引き寄せた。
県1部からの下克上は見事に全国制覇という形で完結した。今大会、関東1部王者の明治大から順天堂大、そして法政大と1部の強豪を次々となぎ倒した。その実力が本物だったことを自らの力で証明してみせたのだ。
1点を争う白熱の攻防戦となった決勝を含め、「サッカーができることが当たり前ではないと思った」と敗れた法政大の高木が語ったように、全ての大学チームがそう思いながら真剣に戦い、最後は東海大が栄冠に輝いた。すべての選手、スタッフ、そして大会開催に尽力した学連を筆頭とする関係者の方々に、心からリスペクトの気持ちを込めて決勝レポートを締めたい。
取材・文●安藤隆人(サッカージャーナリスト)
【#atarimaeni CUP決勝PHOTO】法政大学0-1東海大学|水越が起死回生の決勝ゴール!1点を死守した東海大が20年ぶりの全国大会優勝!
そして72分、左CKを一度はヘッドでクリアされるが、こぼれ球をすかさず左MFの高田悠が拾い、右サイドのスペースにドリブルを仕掛ける。高田はマークにきた長谷川を鋭い切り返しで交わすと、ペナルティエリア内に浸入して、左足シュート。GK中野が弾いたボールを水越が滑り込んで豪快に蹴り込んだ。
自分たちの時間帯になったタイミングを逃さずに波状攻撃を仕掛け、ついに法政大のゴールをこじ開けた。
直後のキックオフから法政大も決定機を作った。ハーフライン付近でボールを受けた長谷川が、背後に抜け出した途中出場のFW佐藤大樹へ浮き球のスルーパス。これを佐藤がDFふたりに囲まれながらも滑り込んで左足でシュート。ボールはゴール右ポストを強襲し、跳ね返りをGK宮﨑浩太朗がガッチリと抑えた。
この4分間が勝負の行方を完全に左右した。この決定機を皮切りに法政大は再び東海大を押し込むも、83分に左CKからペナルティエリア内で途中出場のMF服部剛大がフリーでシュートを放つが、これは3人がかりでシュートブロック。86分、右サイドで途中出場のFW飯島陸が粘った折り返しを、佐藤がフリーで狙うが、枠を捉えきれず。最後まで東海大の堅い守りをこじ開けられないまま、試合はタイムアップの時を迎えた。
「予想通り質の高い攻撃を持っていて劣勢になることは予想していたが、それを遥かに上回る劣勢に追い込まれて、技術とスピードに前半は慣れることができなかった。でも、後半から我々の持ち味である守備とカウンターでペースが変わって1点取って守り切った。東海大が勝てるとしたらこういうパターンという試合をやってくれたと思います」
試合後、20年前に東海大の指揮を執って総理大臣杯優勝を果たし、今年監督に復帰をした今川正浩監督が口にしたように、東海大はまさに必勝パターンを全員の力で引き寄せた。
県1部からの下克上は見事に全国制覇という形で完結した。今大会、関東1部王者の明治大から順天堂大、そして法政大と1部の強豪を次々となぎ倒した。その実力が本物だったことを自らの力で証明してみせたのだ。
1点を争う白熱の攻防戦となった決勝を含め、「サッカーができることが当たり前ではないと思った」と敗れた法政大の高木が語ったように、全ての大学チームがそう思いながら真剣に戦い、最後は東海大が栄冠に輝いた。すべての選手、スタッフ、そして大会開催に尽力した学連を筆頭とする関係者の方々に、心からリスペクトの気持ちを込めて決勝レポートを締めたい。
取材・文●安藤隆人(サッカージャーナリスト)
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