「いつ何時でも立ち返るのは技術」
「この試合は誰がどうということでなく、自分たちが思うようにボールを扱い、相手を操ることをせずに相手の土俵に立ってしまった試合。自分たちが目指してきたサッカーを放棄してしまった試合なんです。空中にボールが浮いている時間が長く、技術を持って人を崩しに行くことをやらなかった」
じつは4節までの戦績は、7位に終わった2019シーズンと全く同じだった。当時を知っている関係者やサポーターは、どうしても不安が頭をよぎる。しかし、島岡監督は動じなかった。ここまでのトレーニングでやるべきサッカーを形作ってきた自信があったからだ。しかしFC N.戦では、そんな自分たちのサッカーを放棄してしまった。そこに責任を感じた。
「試合後、選手、コーチ、関係者で食事をしたんです。仕事で来られない選手もいましたが、次の試合までに期間が空くので一区切りということで。その場でみんなに言いました。『いつも人のせいにするな、もののせいにするな、と言ってるけど、自分たちのサッカーをするように持っていけなかった今日の試合は自分の責任。監督の力のなさだ』と。だから『今日、この瞬間だけはおれのせいにしてくれ』と。その代わり『今日だけな』とも付け加えましたが(笑)」
相手は前シーズンから苦戦を強いられてきた大学生チームで、アウェーでしかも朝のキックオフ。しかも8月の試合で猛暑になることが予想された。自分たちを見るより、そういった外的要素に気を取られていなかったか。サッカーだからいろんな状況がありうるし、起こりうる。環境だって条件だって変わる。でも、その時に立ち返るべきものがあればチームは動じない。島岡監督はそう考えていたし、それが「技術」であることを浸透させてきたつもりだった。しかし、それができていなかったことで肚が決まった。
「練習でも試合でも、いつ何時でも立ち返るのは技術。技術を追い求め、突き詰めることを放棄するとこのような試合になるというのが僕の中で明確になった。なのでどんなことでも動じないほど、より技術を突き詰めていこうと」
チームにははっきりと「この後の試合は全部5-0で勝つ」と言い切った。対戦相手を見下して言っているのではなく、その意識で技術を突き詰め続けるという覚悟の言葉だった。
リーグは第4節後、約1ヵ月の間が空き残りは3試合。その相手には全て前シーズン敗れていた。だが、そんなネガティブな要素に一切関知せず、試合までの1ヵ月を技術の追求に費やした。
「実際に前年のシーズンを経験した関係者やサポーターの方々は、見ないようにしてても気にしてしまっていたかもしれません。でも僕はそれを全く知らない状況でチームに来たのが逆に良かった(知っていても気にしない)。そんな楽観的な性格も助けてくれたかもですね(笑)。一方で、苦い過去の経験があるからこそ、みんなの勝ちたいという気持ちが強くなっていたのも事実だと思います」
島岡監督はそのチームが発する思いを、具体的な形にしようとした。
「その気持ちを心でなく頭に置き換えさせてもらいました。僕も振り返れば、かつては気持ちの強さをメンタルに置き換えようとしていました。でも今はメンタル=頭ということが理解できて、そのメンタルを技術にリンクしていく。結果、一人一人、自分の持っているものを超えていく選手もなかなか超えられない選手もいましたが、上を求めている空気感が出ました。チームの戦術やシステム以前に、勝つために一人一人がどんなサッカーをするのか。それが、シーズンが進むにつれて頼もしさを生んでいった。それが後ろ盾になって、ぼくも毎試合ワクワク楽しむことができました」
敗戦から1か月後、9月から始まったシーズン後半戦。南葛SCはエリース東京FCに3-1、駒澤大学 GIOCO 世田谷に4-0、東京海上フットボールクラブにも4-0で大勝し、ブロック1位で関東社会人サッカー大会進出を決めた。
じつは4節までの戦績は、7位に終わった2019シーズンと全く同じだった。当時を知っている関係者やサポーターは、どうしても不安が頭をよぎる。しかし、島岡監督は動じなかった。ここまでのトレーニングでやるべきサッカーを形作ってきた自信があったからだ。しかしFC N.戦では、そんな自分たちのサッカーを放棄してしまった。そこに責任を感じた。
「試合後、選手、コーチ、関係者で食事をしたんです。仕事で来られない選手もいましたが、次の試合までに期間が空くので一区切りということで。その場でみんなに言いました。『いつも人のせいにするな、もののせいにするな、と言ってるけど、自分たちのサッカーをするように持っていけなかった今日の試合は自分の責任。監督の力のなさだ』と。だから『今日、この瞬間だけはおれのせいにしてくれ』と。その代わり『今日だけな』とも付け加えましたが(笑)」
相手は前シーズンから苦戦を強いられてきた大学生チームで、アウェーでしかも朝のキックオフ。しかも8月の試合で猛暑になることが予想された。自分たちを見るより、そういった外的要素に気を取られていなかったか。サッカーだからいろんな状況がありうるし、起こりうる。環境だって条件だって変わる。でも、その時に立ち返るべきものがあればチームは動じない。島岡監督はそう考えていたし、それが「技術」であることを浸透させてきたつもりだった。しかし、それができていなかったことで肚が決まった。
「練習でも試合でも、いつ何時でも立ち返るのは技術。技術を追い求め、突き詰めることを放棄するとこのような試合になるというのが僕の中で明確になった。なのでどんなことでも動じないほど、より技術を突き詰めていこうと」
チームにははっきりと「この後の試合は全部5-0で勝つ」と言い切った。対戦相手を見下して言っているのではなく、その意識で技術を突き詰め続けるという覚悟の言葉だった。
リーグは第4節後、約1ヵ月の間が空き残りは3試合。その相手には全て前シーズン敗れていた。だが、そんなネガティブな要素に一切関知せず、試合までの1ヵ月を技術の追求に費やした。
「実際に前年のシーズンを経験した関係者やサポーターの方々は、見ないようにしてても気にしてしまっていたかもしれません。でも僕はそれを全く知らない状況でチームに来たのが逆に良かった(知っていても気にしない)。そんな楽観的な性格も助けてくれたかもですね(笑)。一方で、苦い過去の経験があるからこそ、みんなの勝ちたいという気持ちが強くなっていたのも事実だと思います」
島岡監督はそのチームが発する思いを、具体的な形にしようとした。
「その気持ちを心でなく頭に置き換えさせてもらいました。僕も振り返れば、かつては気持ちの強さをメンタルに置き換えようとしていました。でも今はメンタル=頭ということが理解できて、そのメンタルを技術にリンクしていく。結果、一人一人、自分の持っているものを超えていく選手もなかなか超えられない選手もいましたが、上を求めている空気感が出ました。チームの戦術やシステム以前に、勝つために一人一人がどんなサッカーをするのか。それが、シーズンが進むにつれて頼もしさを生んでいった。それが後ろ盾になって、ぼくも毎試合ワクワク楽しむことができました」
敗戦から1か月後、9月から始まったシーズン後半戦。南葛SCはエリース東京FCに3-1、駒澤大学 GIOCO 世田谷に4-0、東京海上フットボールクラブにも4-0で大勝し、ブロック1位で関東社会人サッカー大会進出を決めた。