ユナイテッドの守備網はズタズタにされた
注目のユナイテッド戦では、ナーゲルスマンのゲームプランが冴えわたる。5バックの相手をどう攻略するのかという問いに対して、確かな戦術を準備してきた。
例えばボールが片方のサイドにあるとき、反対サイドのSBやWBはCBへより、センターの守備をサポートするというのはチーム守備戦術における基本だ。サイドチェンジに対してはそこから直接ゴールへの危険が少ないのでスライドで対応できるというのが理由。だがユナイテッドはウイングバックがCBへ寄りすぎる傾向があると分析し、見事に突いてみせた。
先制点は右サイドのハーフスペースでボールを持ったマルセル・サビツァーが起点となった。1トップのエミル・フォシュベリが右サイド寄りへ動き出し、左サイドのクリストファー・ヌクンクがセンターへと移動する。ユナイテッドはセンターへスライドして対応しようとする。
狙いはその奥だ。
ライプツィヒ左WBのアンヘリーニョが守備ラインを横切るボールに対して鋭く反応。左足ダイレクトシュートをゴール右隅に決めた。
ユナイテッドはこの後もアンヘリーニョを捕まえることができない。2点目も同様の流れから生まれた。サイドチェンジで右へ揺さぶられ、センターを経由して左のアンヘリーニョへ。そこからのクロスを大外に走りこんでいたアマドゥ・ハイダラがダイレクトボレーで決めた。
例えばボールが片方のサイドにあるとき、反対サイドのSBやWBはCBへより、センターの守備をサポートするというのはチーム守備戦術における基本だ。サイドチェンジに対してはそこから直接ゴールへの危険が少ないのでスライドで対応できるというのが理由。だがユナイテッドはウイングバックがCBへ寄りすぎる傾向があると分析し、見事に突いてみせた。
先制点は右サイドのハーフスペースでボールを持ったマルセル・サビツァーが起点となった。1トップのエミル・フォシュベリが右サイド寄りへ動き出し、左サイドのクリストファー・ヌクンクがセンターへと移動する。ユナイテッドはセンターへスライドして対応しようとする。
狙いはその奥だ。
ライプツィヒ左WBのアンヘリーニョが守備ラインを横切るボールに対して鋭く反応。左足ダイレクトシュートをゴール右隅に決めた。
ユナイテッドはこの後もアンヘリーニョを捕まえることができない。2点目も同様の流れから生まれた。サイドチェンジで右へ揺さぶられ、センターを経由して左のアンヘリーニョへ。そこからのクロスを大外に走りこんでいたアマドゥ・ハイダラがダイレクトボレーで決めた。
ナーゲルスマンは試合後、「ファーポストへの早く鋭いボールが狙いだった」と明かしていたが、このシーン以外にも素早いサイドの揺さぶりにユナイテッドは完全に振り回されてしまう。この勝利をものにしたライプツィヒは見事に決勝トーナメント進出を確定させた。
今シーズンのナーゲルスマン・ライプツィヒは守備の安定感がワンランク上がっている点も見逃せない。ユナイテッド戦では終盤2失点を喫し、終了間際にはあわやというシーンもあった点は反省材料だが、リーグでは10試合終了で9失点とリーグ最少失点をマークしている。
昨シーズンは負傷者の続出で生粋のCBがフランス代表ダヨ・ウパメカノしかいなかった。本職SBのルーカス・クロスターマンとマルセル・ハルステンベルクをコンバートとして凌いだわけだが、今季はイブライマ・コナテ、ヴィリ・オルバンが復帰してきたことが非常に大きい。
ユナイテッド戦ではウパメカノが累積警告で出場停止もこの二人がセンターで壁となって君臨していた。アンヘリーニョとノルディ・ムキエレの両SBは試合展開や相手チームに応じて攻守のバランスを取りながら、インテリジェンスの高いプレーを披露している。
昨シーズンのCL準決勝進出は偶然ではない。毎年リニューアルし、微調整を加えながら、チームは、そしてクラブは確かな成長を遂げている。今後の活躍を注目しながら追いかけたい。
筆者プロフィール/中野吉之伴(なかの きちのすけ)
ドイツサッカー協会公認A級ライセンスを保持する現役育成指導者。執筆では現場での経験を生かした論理的分析が得意で、特に育成・グラスルーツサッカーのスペシャリスト。著書に「サッカー年代別トレーニングの教科書」「ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする」。WEBマガジン「中野吉之伴 子どもと育つ」(https://www.targma.jp/kichi-maga/)を運営中
今シーズンのナーゲルスマン・ライプツィヒは守備の安定感がワンランク上がっている点も見逃せない。ユナイテッド戦では終盤2失点を喫し、終了間際にはあわやというシーンもあった点は反省材料だが、リーグでは10試合終了で9失点とリーグ最少失点をマークしている。
昨シーズンは負傷者の続出で生粋のCBがフランス代表ダヨ・ウパメカノしかいなかった。本職SBのルーカス・クロスターマンとマルセル・ハルステンベルクをコンバートとして凌いだわけだが、今季はイブライマ・コナテ、ヴィリ・オルバンが復帰してきたことが非常に大きい。
ユナイテッド戦ではウパメカノが累積警告で出場停止もこの二人がセンターで壁となって君臨していた。アンヘリーニョとノルディ・ムキエレの両SBは試合展開や相手チームに応じて攻守のバランスを取りながら、インテリジェンスの高いプレーを披露している。
昨シーズンのCL準決勝進出は偶然ではない。毎年リニューアルし、微調整を加えながら、チームは、そしてクラブは確かな成長を遂げている。今後の活躍を注目しながら追いかけたい。
筆者プロフィール/中野吉之伴(なかの きちのすけ)
ドイツサッカー協会公認A級ライセンスを保持する現役育成指導者。執筆では現場での経験を生かした論理的分析が得意で、特に育成・グラスルーツサッカーのスペシャリスト。著書に「サッカー年代別トレーニングの教科書」「ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする」。WEBマガジン「中野吉之伴 子どもと育つ」(https://www.targma.jp/kichi-maga/)を運営中