「サッカーだけ、の考え方はある意味“一本足打法”に近い」(嵜本氏)

原博実(Hiromi HARA)
1958年10月19日、栃木県出身。矢板東高から77年に早稲田大学へ進学。当時から強烈なヘディングシュートやテクニカルな左足を武器にストライカーとして活躍し、78年には総理大臣杯とインカレの2冠獲得に貢献。81年、三菱重工業に入社。同社サッカー部(のちの三菱自動車サッカー部/浦和レッズの前身)で長く中心選手としてプレーした。早大在学中に初選出された日本代表では、通算75試合出場・37得点(国際Aマッチ)。92年5月の現役引退後は指導者の道へ進み、浦和やFC東京で監督を務めた。日本サッカー協会の技術委員長などを経て、現在はJリーグの副理事長。写真:田中研治
嵜本「私の場合は、ガンバ大阪から戦力外通告を受け、JFLの佐川急便に行って初めて自分を客観視できましたね。そこでサッカー以外の選択肢を見つけ、結果的に引退を決意したんです。今もまだ多くのJリーガーが、サッカー選手になったらサッカーを続けることが美徳というか、そういった暗黙のルールに縛られているように思います。
サッカーを続けるべきか、辞めるべきかを決める際に重要なのは、そこに意図があるかどうかなんです。サッカーを続ける1年を、なんらかのリターンを得るための投資と捉えた場合、そこに明確な目的や意図がなければ、それは投資ではなく時間の浪費。例えば本田選手や長友(佑都)選手が今、デュアルキャリア的な動きで注目されているのも、彼らにはサッカーを活用して知名度を上げ、世界中にコネクションを作り上げていこうという、はっきりとした狙いがあるからだと思うんです」
原「彼らは選手でいる間のほうが、自分の商品価値が高いと分かっている。辞めてからいろんなことを発信するより、注目度も高いからね。当然、批判もあって、現役時代はサッカーだけやっていればいいという人もいる。岡崎(慎司)のような愚直な生き方もあると思うし、いろんなタイプがいていいんじゃないかな」
嵜本「原さんがおっしゃったように、自分自身がどうすべきか考えた結果、彼らはああいった現在のスタンスになっているんだと思います。いずれにしても、『サッカーしかない』から『サッカーもある』へ、考え方を変えていかないと。若い選手は年俸も低く、3年とか5年で解雇されるケースも多いですからね。そんな状況の中で私は、『デュアルキャリア』という会社を通してアスリートの価値を上げていくことを、人生のテーマとしてやっていきたいと思っているんです」
サッカーを続けるべきか、辞めるべきかを決める際に重要なのは、そこに意図があるかどうかなんです。サッカーを続ける1年を、なんらかのリターンを得るための投資と捉えた場合、そこに明確な目的や意図がなければ、それは投資ではなく時間の浪費。例えば本田選手や長友(佑都)選手が今、デュアルキャリア的な動きで注目されているのも、彼らにはサッカーを活用して知名度を上げ、世界中にコネクションを作り上げていこうという、はっきりとした狙いがあるからだと思うんです」
原「彼らは選手でいる間のほうが、自分の商品価値が高いと分かっている。辞めてからいろんなことを発信するより、注目度も高いからね。当然、批判もあって、現役時代はサッカーだけやっていればいいという人もいる。岡崎(慎司)のような愚直な生き方もあると思うし、いろんなタイプがいていいんじゃないかな」
嵜本「原さんがおっしゃったように、自分自身がどうすべきか考えた結果、彼らはああいった現在のスタンスになっているんだと思います。いずれにしても、『サッカーしかない』から『サッカーもある』へ、考え方を変えていかないと。若い選手は年俸も低く、3年とか5年で解雇されるケースも多いですからね。そんな状況の中で私は、『デュアルキャリア』という会社を通してアスリートの価値を上げていくことを、人生のテーマとしてやっていきたいと思っているんです」
原「嵜本さんのように高卒3年目でプロを辞めたら、まだ21歳とか22歳。その年齢なら、なんでもやれる。逆に長く現役を続けたとしても、例えば35歳になってこれからどうするか慌てて考えるのではなく、それまでに新しい道へ進むための勉強や準備はしておかなきゃいけない。
ただ一般的に、最初の2、3年はやっぱりサッカーに集中したほうがいいと思う。Jリーガーとして試合に出続けるのは簡単じゃないからね。もちろん、中田(英寿)のように、プロ入り前からしっかりとした将来像を持っていて、それが当たり前になっているような選手は、語学の勉強なんかも続けてやればいいと思うけどね」
嵜本「選択肢は持つべきでしょうね。今はあまりにも情報に触れていない選手が多い印象があって。やはり世の中で何が起こっているのかを知っているのと知らないのとでは、見える景色も変わってきますからね。情報に触れることで、選択肢も増える。選択肢を持つことで、サッカー以外の何かに手を伸ばすきっかけにもなる。
『サッカーだけ』の考え方は、ある意味〝一本足打法〞に近くて、リスクが大きい。練習以外の時間をいかに有意義に、自己投資の時間に充てられるか。その積み重ねでセカンドキャリアも変わってくるんじゃないでしょうか」
ただ一般的に、最初の2、3年はやっぱりサッカーに集中したほうがいいと思う。Jリーガーとして試合に出続けるのは簡単じゃないからね。もちろん、中田(英寿)のように、プロ入り前からしっかりとした将来像を持っていて、それが当たり前になっているような選手は、語学の勉強なんかも続けてやればいいと思うけどね」
嵜本「選択肢は持つべきでしょうね。今はあまりにも情報に触れていない選手が多い印象があって。やはり世の中で何が起こっているのかを知っているのと知らないのとでは、見える景色も変わってきますからね。情報に触れることで、選択肢も増える。選択肢を持つことで、サッカー以外の何かに手を伸ばすきっかけにもなる。
『サッカーだけ』の考え方は、ある意味〝一本足打法〞に近くて、リスクが大きい。練習以外の時間をいかに有意義に、自己投資の時間に充てられるか。その積み重ねでセカンドキャリアも変わってくるんじゃないでしょうか」