“速さ”には誤解が生まれやすい側面も。
日本人(日本で育った人間を含めて)はひとつの物事を錬磨し、習熟するという点で秀でている。そして、そんな一芸を愛でる気質がある(顕著な例がフリーキックの技術。止まったボールを蹴る、という日々の練習のなかで個人的に鍛えられる武器に関しては、真面目に取り組み、相応の領域に達し、それを出し切れる)。
ハーフナーも同じ条件で高いボールを競えば誰にでも勝てる、そういう自負があっただろう。ところが、試合の流れのなかで周囲と連係し、お互いを高め合い、自らの技術や特性を出す、という点で日本人は熟達が遅れているのだ。
速く走る。
その評価にも、実は“誤解”が生まれやすい。
永井のスピードは才能で、圧倒的な武器と言える。それは一見して、素人の目にも分かるだろう。しかし彼がその能力を十全に活かすには、フットボールの原点であるパス、コントロール、シュートという一連の動きの質をもっと高めなければならない。
パスをもらうための角度やポジショニング、そしてパスが通った時にボールをどこに置けるかのコントロール、そしてシュートの精度はまだ拙い。端的に言って、左足のシュート技術の拙さは目立った弱点になる。
足の速さは、それ単体ではほとんどなんの役にも持たない。
ハリルホジッチ監督は、“勝算”があって選出したのだろう。彼が永井にどうスピードを使わせるのか?
一国の指揮官は、メンバー選考と起用法において、そのセンスと力量が問われる。
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。01年にバルセロナへ渡りライターに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写。近著に『おれは最後に笑う』(東邦出版)。
ハーフナーも同じ条件で高いボールを競えば誰にでも勝てる、そういう自負があっただろう。ところが、試合の流れのなかで周囲と連係し、お互いを高め合い、自らの技術や特性を出す、という点で日本人は熟達が遅れているのだ。
速く走る。
その評価にも、実は“誤解”が生まれやすい。
永井のスピードは才能で、圧倒的な武器と言える。それは一見して、素人の目にも分かるだろう。しかし彼がその能力を十全に活かすには、フットボールの原点であるパス、コントロール、シュートという一連の動きの質をもっと高めなければならない。
パスをもらうための角度やポジショニング、そしてパスが通った時にボールをどこに置けるかのコントロール、そしてシュートの精度はまだ拙い。端的に言って、左足のシュート技術の拙さは目立った弱点になる。
足の速さは、それ単体ではほとんどなんの役にも持たない。
ハリルホジッチ監督は、“勝算”があって選出したのだろう。彼が永井にどうスピードを使わせるのか?
一国の指揮官は、メンバー選考と起用法において、そのセンスと力量が問われる。
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。01年にバルセロナへ渡りライターに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写。近著に『おれは最後に笑う』(東邦出版)。