【連載】小宮良之の『日本サッカー兵法書』 其の十一「役に立つ技術と立たない技術」

カテゴリ:特集

小宮良之

2015年03月26日

“速さ”には誤解が生まれやすい側面も。

確かに永井のスピードは魅力。ただし、ポジショニングやボールコントロール、特に左足のシュート精度を高めなければ、せっかくの“宝”は持ち腐れに。 (C)SOCCER DIGEST

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 日本人(日本で育った人間を含めて)はひとつの物事を錬磨し、習熟するという点で秀でている。そして、そんな一芸を愛でる気質がある(顕著な例がフリーキックの技術。止まったボールを蹴る、という日々の練習のなかで個人的に鍛えられる武器に関しては、真面目に取り組み、相応の領域に達し、それを出し切れる)。
 
 ハーフナーも同じ条件で高いボールを競えば誰にでも勝てる、そういう自負があっただろう。ところが、試合の流れのなかで周囲と連係し、お互いを高め合い、自らの技術や特性を出す、という点で日本人は熟達が遅れているのだ。
 
 速く走る。
 
 その評価にも、実は“誤解”が生まれやすい。
 
 永井のスピードは才能で、圧倒的な武器と言える。それは一見して、素人の目にも分かるだろう。しかし彼がその能力を十全に活かすには、フットボールの原点であるパス、コントロール、シュートという一連の動きの質をもっと高めなければならない。
 
 パスをもらうための角度やポジショニング、そしてパスが通った時にボールをどこに置けるかのコントロール、そしてシュートの精度はまだ拙い。端的に言って、左足のシュート技術の拙さは目立った弱点になる。
 
 足の速さは、それ単体ではほとんどなんの役にも持たない。
 
 ハリルホジッチ監督は、“勝算”があって選出したのだろう。彼が永井にどうスピードを使わせるのか?
 
 一国の指揮官は、メンバー選考と起用法において、そのセンスと力量が問われる。 
 
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。01年にバルセロナへ渡りライターに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写。近著に『おれは最後に笑う』(東邦出版)。
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