「完全にカオス」フランス女子代表の反乱が“ドロ沼”化! OGたちも巻き込む大騒動を、仏紙が痛烈に皮肉る【現地発】

カテゴリ:ワールド

結城麻里

2020年11月18日

OGを巻き込んだ大騒ぎを、仏紙は一刀両断

監督と主将の対立に、FFFルグラエット会長(中央)は有効な手立てを講じられるのか。(C)Getty Images

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 そして、この衝撃波は代表OGたちにも広がり、代表を引退したエリーズ・ブサグリア(192キャップ・30ゴール)は、「随分前から引きずっているモノがある」として、「たとえば監督になった途端にウェンディー(ルナール)のキャプテンマークを剥奪した決断も、コリーヌ・ディアークルの足に刺さった棘(とげ)になっている。でも自分で刺した棘よ」と分析した。

 だが一方でブサグリアは、「選手たち側も大人の対応をとらねばならない。『同意できない、あなたは私を傷つけている』と、溜めずにちゃんと言うべき」とも主張。その点で「アマンディーヌはモノをテーブルの上に提示したのであり、悪い策ではない。それなしでは複雑化するし、もっと言えば不可能になる」と指摘、「悪の根っこは深い」と強調した。

 ディアークル監督同様に、フランス最高の監督資格BEPFを取得し、現在は女子ランス(2部)監督を務めるサラ・エムバレクも、「どうしてこんなことになってしまったのか理解できない。これほど鬱々として淋しい段階にきてしまうなんて。これほど強烈な言葉を投げ合うなんて」と愕然状態。だがやはり「アマンディーヌの言ったことはとても的確。もう言うしかなかったのだと思う」と分析した。

 また試合解説などを務めるOGジェシカ・ウアラ=ドモー(64キャップ・3ゴール)も、「アマンディーヌはコリーヌ・ディアークルの辞任を求めているわけじゃない。ちゃんと口に出して、テーブルの上に示して、もうノンディ(無言のタブー)がないようにしたかっただけ」と理解を示した。

 だが――。男子代表のナイスナ事件を経験したフランス全体の反響は、そう生やさしくない。
 『L’EQUIPE』16日付の社説は、まさに女子代表の断裂に捧げられ、「みんなにブラヴォー」という皮肉たっぷりの見出しで、マテュー・バルブルース記者の筆が全員を斬りまくった。

 まずディアークル監督については、「非妥協性と高飛車キャパシティーで代表主力をことごとく敵に回すことに成功してしまった」「特権に嫉妬するあまり、突き出る頭は切り飛ばしてでも見たくないのだ」とめった斬り。

 またルグラエットFFF会長については、「刺激をつくるつもりで強烈なパーソナリティーや対立を連係させる趣味は、もう限界にきている。いまや彼は綱渡り状態だ」「破片を集めて貼り直すのはもう不可能だが、かと言って、監督と離別すれば前例をつくり、女子選手たちに全権を付与することになってしまう」とこきおろした。

 さらに選手たちについても、「リヨンでの戦績を特権の記念塔みたいに振りかざすうち、フランス代表では何も成し得ていないことを、きっと忘れてしまったのだろう」と容赦なかった。

 11月27日には、EURO予選のオーストリア戦が迫っている。コリーヌ・ディアークル監督は、ここにアマンディーヌ・アンリを招集しないわけにはいかなくなってきた。しかもこの試合で敗北するようなら、監督の座さえ怪しくなってくる。もう何もなかったように振る舞うのは不可能だからだ。

 そして本当に男子“ナイスナ”のように、「ゆっくり地獄へと降りてゆく」(『L’EQUIPE』)事態になる可能性もある。なでしこジャパンのよきライバルでもあるフランス女子代表は、果たしてこの大断裂を乗り越えられるのだろうか。

テキスト・結城麻里 
Text by Marie YUUKI

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