方式変更でもリーグの構図は何ら変わることのなかったリーガ。

2強による覇権争い――毎シーズン同じ構図のリーガに新たな興味を加えようとした主催者側の意図は理解できるが……。写真は1986-87シーズンのクラシコ(バルセロナのガリー・リネカーとR・マドリーのウーゴ・サンチェス)。 (C) Getty Images
ところが過去を振り返ると、あの世界一のリーグともいわれるリーガ・エスパニョーラが、興行的な事情から2期制に踏み切ったシーズンがあった。戦時中や戦後の混乱期などでチーム数が揃わず、一時的にリーグ方式を変えたという例はイタリアなどでもあったが、ここで紹介するのは決して大昔ではない1986-87シーズンのことである。
現在同様、レアル・マドリーとバルセロナが盟主の座を激しく争っていたこの時代、リーガは18チームで形成されていたが、86-87シーズン、まず例年通りにホーム&アウェーでの総当たりでリーグ戦を行なった後、上位から6チームずつに分けて、順位決定のための新たなリーグ戦(こちらもホーム&アウェーでの総当たり)を導入したのである。
34試合を戦った後、さらに10試合を強いられるという新リーグ方式に対して、当然クラブ側は反対したが、「試合増加だけでなく、スリル倍増で観客数の増加が望める」と主催者側は自信を持って新たな試みを断行した。
結果、シーズン終了後にスペインの頂点に立ったのは、例によってバルセロナとのマッチレースを制したR・マドリー。2連覇であり、さらにこの後、5連覇を達成して黄金時代を謳歌することとなる。
さて、2期制の効果だが、誰が見ても大失敗に終わった。最大の目玉であるはずの上位6チームによる決勝リーグは、例年通りの2強による争いとなり、何ら目新しさはなし。プレーオフ特有の緊張感はなく、試合数増加による疲労の影響か凡戦続き。かえって客足は遠のくこととなってしまった……。
しかも、34試合を戦った時点での順位と、その後の6チームでのリーグの順位でほとんど変化がなかったとあれば(降格争いで1チームが入れ替わったのみ)、2期制をやる意味は全くなかったと言っても過言ではない。
結局、リーガ主導による「斬新なアイデア」は1シーズンで撤回され、翌シーズンからは20チームによるホーム&アウェーでの総当たりという、誰もが慣れ親しんだシンプルな方式に戻り、現在に至るのである(チーム数の変動はあったが)。
さて、始まったばかりのJリーグ・ファーストステージ。日本と欧州では事情もまるで異なるし、Jリーグは2ステージ制での経験・実績もあるので、スペインのケースがそのまま再現されることはないだろう。
果たして、リーグを面白くするための主催者側の主導による複雑な方式が今季、どのようなドラマと結果を生み出すのか。各チームによる熱戦とともに注目していきたい。
現在同様、レアル・マドリーとバルセロナが盟主の座を激しく争っていたこの時代、リーガは18チームで形成されていたが、86-87シーズン、まず例年通りにホーム&アウェーでの総当たりでリーグ戦を行なった後、上位から6チームずつに分けて、順位決定のための新たなリーグ戦(こちらもホーム&アウェーでの総当たり)を導入したのである。
34試合を戦った後、さらに10試合を強いられるという新リーグ方式に対して、当然クラブ側は反対したが、「試合増加だけでなく、スリル倍増で観客数の増加が望める」と主催者側は自信を持って新たな試みを断行した。
結果、シーズン終了後にスペインの頂点に立ったのは、例によってバルセロナとのマッチレースを制したR・マドリー。2連覇であり、さらにこの後、5連覇を達成して黄金時代を謳歌することとなる。
さて、2期制の効果だが、誰が見ても大失敗に終わった。最大の目玉であるはずの上位6チームによる決勝リーグは、例年通りの2強による争いとなり、何ら目新しさはなし。プレーオフ特有の緊張感はなく、試合数増加による疲労の影響か凡戦続き。かえって客足は遠のくこととなってしまった……。
しかも、34試合を戦った時点での順位と、その後の6チームでのリーグの順位でほとんど変化がなかったとあれば(降格争いで1チームが入れ替わったのみ)、2期制をやる意味は全くなかったと言っても過言ではない。
結局、リーガ主導による「斬新なアイデア」は1シーズンで撤回され、翌シーズンからは20チームによるホーム&アウェーでの総当たりという、誰もが慣れ親しんだシンプルな方式に戻り、現在に至るのである(チーム数の変動はあったが)。
さて、始まったばかりのJリーグ・ファーストステージ。日本と欧州では事情もまるで異なるし、Jリーグは2ステージ制での経験・実績もあるので、スペインのケースがそのまま再現されることはないだろう。
果たして、リーグを面白くするための主催者側の主導による複雑な方式が今季、どのようなドラマと結果を生み出すのか。各チームによる熱戦とともに注目していきたい。