【岩本輝雄のプロフェッショナル採点】3発に絡んだ宇賀神の「凄さ」

カテゴリ:連載・コラム

岩本輝雄

2015年03月09日

湘南――アンドレ・バイアは良い補強だった。

【警告】湘南=なし 浦和=那須(20分)、森脇(34分)、宇賀神(60分)
【MAN OF THE MATCH】宇賀神友弥(浦和)

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 現役時代は平塚や仙台などでプレーし、自慢の左足で日本代表としても活躍した岩本輝雄氏が、元選手ならではの鋭い視点でJリーガーのパフォーマンスや監督の采配をリアルにジャッジ!!
 
 世界のサッカーにも精通し、国内外の戦術を研究する日々を送る“サッカーおたく”岩本氏の眼にはどのように映ったのか――。
 
 記念すべき第1回は、J1第1ステージ1節の湘南対浦和を採点してもらった。

【J1採点&寸評】1stステージ1節|全9カードの出場選手&監督を現地記者が評価
 
――◆――◆――
 
■湘南ベルマーレ■
――先発出場――
GK 1 秋元陽太 5
セットプレーから奪われた1失点目は、ライン設定が上手くいってなかったと思う。なぜあそこまで深く下げ過ぎてしまったのか。その失点がなく、前半を1-0で折り返すことができていれば、また違った展開になっていた気がする。そこが悔やまれる。
 
DF 3 遠藤 航 5.5
無難にプレーしていた印象。PKも確実に決めて前半は良かった。とはいえ、後半は同サイドの選手との連係がスムーズではなく、しばしばそこを突かれるシーンが目立ち、失点につながってしまったのは残念だった。リオ世代の注目選手と言われているけど、世界基準で見れば、まだまだ。さらなる成長を期待したいね。
 
DF 4 アンドレ・バイア 6.5
90分間、終始落ち着いていて、カバーリングなど1対1で強さを発揮。危機察知能力も非常に高い。個の勝負ではほとんど負けていなかったんじゃないかな。ベルマーレにとっては良い補強になったと言える。
 
DF 17 三竿雄斗 5.5
果敢にオーバーラップするなど、攻撃参加は及第点以上の出来。攻守に奮闘していた。とはいえ、後半はチーム自体が息切れするなかで、これは遠藤にも言えることだけど、もう少し後ろからゲームをコントロールしたい。良いものは持っているけど、もったいないというのが正直なところだ。
 
MF 5 古林将太 5.5
精力的に上下動をしていた。運動量が多くて存在感を示していたけど、攻撃になった時の、特にタッチライン際のポジショニングを工夫してほしかった。対面していた宇賀神を引き出すというか、相手が5バックの陣形になったら、宇賀神を誘い出してラインを崩すようなポジションを取れれば、宇賀神の背後にスペースができて、そこに2シャドーのひとりを走り込ませることもできる。あるいは、サイドだけでなく中に動いてボールを受けるとか。それができれば、チームの攻撃にも流動性が生まれ、彼の良さももっと活きるし、プレーの幅も広がるはず。
 
MF 2 菊地俊介 5.5
ポジショニングに大きな問題はなく、永木とのコンビも悪くなかった。ボール奪取でも持ち味を発揮して相手を潰していた。ただ、後半に入ると全体的に間延びする場面が少なくなかっただけに、そこのバランスをどれだけ取れるかが今後の課題か。いくら60分間が良くても、90分間を通してそれを維持できなければダメ。これはチームとしての問題点でもあると思うけど……。
 
MF 6 永木亮太 5.5
序盤からすごくアグレッシブで、前半に関しては両チームを通じて、最も優れたパフォーマンスを見せていた。でも、逆転されて前掛かりとなってからは、後ろとのバランスも悪くなってしまった。後半はイージーミスがいくつかあったので、評価を下げざるを得ない。
 
MF 10 菊池大介 5
全体的にボールを触る回数が少なかった気がする。昨年は彼がもっとプレーに絡んでいて、ゴール前に顔を出してチャンスを作っていた。それを考えると、今日の試合は物足りなさを感じたかな。
 
FW 23 高山 薫 5(65分アウト)
効果的なくさびを受けられず、チャンスメーカーとしては満足できない。守備では貢献していたけど、肝心のアタックでは目立つことができず。パンチ力もなかった。
 
FW 7 大竹洋平 5(56分アウト)
ディフェンスに負われる時間帯が長かったのが影響してか、彼の武器であるキープ力、シュート、スルーパスなど、印象に残るパフォーマンスはなきに等しかった。能力の高さは間違いないので、次節に期待したい。
 
FW 19 大槻周平 6
動き出しが早く、効果的にスペースを突く動きができていて、キープ力を活かして前線の起点にもなれていた。ゴールこそなかったけど、十分に評価してもいいと思う。個人的には、CFの選手は確実にボールを収められないとダメだと考えている。そこで簡単に失うようでは意味がない。イブラヒモビッチを見れば、それは分かるはず。
 
――途中出場―
FW 8 山田直輝 5(65分イン)
古巣相手に気持ち的にも高いモチベーションで、途中出場から懸命に戦う姿勢を見せてはいた。でも、周りとの連係不足は明らか。味方との良い距離感のなかでこそ輝きを放つタイプだと思う。加入したばかりで、ベルマーレの縦に速いスタイルに順応するにはもうしばらく時間がかかるかもしれないけど、新天地でのデビュー戦はほろ苦いものになってしまった。
 
FW 22 岡田翔平 5(56分イン、80分アウト)
チームとしてリズムが悪くなってからの途中出場であり、難しいシチュエーションだったとは思う。それにしても、インパクトをほとんど残せず、印象的なプレーは皆無。しかも途中出場でありながら途中交代という、本人にとっても残念な結果に。
 
MF 15 キム・ジョンピル 5(80分イン)
身体の強さは披露したけど、結果に結びつくような活躍はなし。相手にスペースを与えてしまう場面も目についた。新戦力で、わずかな出場時間では判断しづらい部分もあるけど、今回は厳しめに評価した。
 
監督
貴裁 5.5
試合の入り方も良くて、チャンスを確実にモノにできれば、はっきり言って前半で勝負を決めることができたと思う。もしかしたら、J2でならゴールできたかもしれないけど、さすがにJ1のトップではそう上手くはいかない。それを監督も改めて痛感したのではないだろうか。目指しているサッカーはよく分かるけど、もう少し柔軟な采配を見せてほしかった。
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