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【川崎】脇坂泰斗、三笘薫、田中碧…有能な人材輩出のアカデミー組織充実の舞台裏。新たなスカウト活動とは?

カテゴリ:Jリーグ

本田健介(サッカーダイジェスト)

2020年08月22日

スカウト担当の誕生。隠れた原石の発掘へ

三笘(写真左)と脇坂のツーショット。三笘は昨季、特別指定選手として公式戦デビューを果たし、大卒1年目の今季は長足の成長を見せている。(C)SOCCER DIGEST

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 前出の山岸がアカデミーのトップとなる育成部長に就任したのは2016年。ここを境に、従来のやり方を活かしながら改革も行なわれてきた。そのひとつがスカウト担当の設置だ。

「うちはFC東京さんやマリノスさんに追い付け追い越せでやっています。ただそのなかでが、人材確保の取り組みはセレクションとエリートクラス(週1回開催。他チームに所属しながら将来、川崎U-15の加入を希望している選手らを集めてトレーニングを行なう)のふたつだけだったんです。そこで、スカウトの必要性を感じ、18年から小学生を中心に見てもらう人材を置きました」

 大役を任されたのは川崎でスクール・普及コーチを務めていた大田和直哉だった。才能に溢れた原石の発掘を一身に背負うことになったのだ。

「今はどのクラブにもジュニア年代のスカウトがほぼ1人以上いる状況になっています。逆に“スカウト待ち”という言葉があるくらい優秀な選手は声をかけられるのを待っているんです。だからこそ、この仕事の重要性を感じています」(大田和)

 大田和が主にチェックしているのはジュニアユース、ユースにリクルート出来る学年だが、小学2年生の試合も見に行き、エリートクラスへのスカウトも行なう。優秀な人材がいれば練習参加などに誘い、川崎の良さをアピールする。

 この点においては、「“止める・蹴る”は中学1年生、いわゆるジュニアユースからでも間に合います。ただユースから教えるとなると難しい部分もあります。小学生の時にあまり足もとが上手くなくとも、ジュニアユースの3年間でグッと伸びることもあるんです。でも本音を言えばジュニアから入った子のほうが伸び幅は大きい。だから理想は小学4年生くらいから育てることです」と山岸も想いを語る。
 もっとも人材といっても神奈川、そして関東で見つけるとなるとライバルクラブも多く至難の業だ。さらにこの作業を川崎では大田和ひとりが担っている。

 最近はトップチームの成績、優秀な人材の輩出が続き「謳い文句も増え、誘いやすくなっています。川崎の魅力を伝える時は映像を作ったり、『君なら将来、田中碧選手を目指せるよ』など、興味を持っていただけるようになりました」と笑顔で大田和は語るが、新たなリクルート活動も取り入れた。それがリモートスカウト活動“F活”である。これは各選手からプレー動画を送ってもらい、より幅広い視点でタレントを掘り出そうというもの。現時点では8月31日までの締め切りとしているが、今後も継続して行なっていく予定だという。

「ひとりで試合を見るとなると数は限られます。そこでコロナのこともあって、各選手に自分の特長やプレー動画を送ってもらおうと考えたんです。足が速い、リフティングが上手いなど、特長をアピールしてもらい、加えて映像には自己紹介も入れてもらっています。そこでサッカーとは関係なくとも自己PRをしてもらったり、フロンターレが好きな子は、その想いを伝えてもらう。その点ではフロンターレらしいスカウト活動なのかなと感じています。まだ修正点は多いですが、継続してやっていきたいです」(大田和)。

 そして人材を発掘したうえで、見据える今後の目標も決まっている。

「これまでなかなかトップに上げられていないGK、SB、CBらの育成。そしてトップチームの3分の1をアカデミー選手で構成すること」(山岸)。さらにU-18チームのプリンスリーグから同世代最高峰プレミアリーグへの昇格もターゲットだ。

 加えて23年春には川崎市内にある生田浄水場用地に、アカデミーの新たな拠点(テニスコートなどを併設した複合施設)「フロンタウン生田」(仮称)を建設する予定でもある。次のステージへの準備は進んでいるのだ。

 スカウト担当の大田和が人材を見つけ、アカデミーダイレクターの後藤を中心としたコーチ陣が“川崎メソッド”を教え、育成部長の山岸が全体をコントロールする。大田和がリクルートしてきた人材は数年後にはトップ昇格を果たす可能性もある。その若き力には、3人も大きな期待を寄せている。今後、どのようなタレントが現われるのか楽しみでならない。      
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