06年にジュニアチームを設立。風間監督の就任も転機に
J1新記録となる破竹の10連勝を飾るなど、今季の主役としてスポットライトを浴びる川崎において、最近光るのが、下部組織出身者の活躍だ。脇坂泰斗、田中碧はチームの主軸に成長し、筑波大を経て、今季加入した三笘薫は大卒1年目ながら公式戦5試合連続ゴール中。その他にも海外移籍を果たした三好康児、板倉滉ら好タレントの名が並ぶ。
果たしてクラブの土台を支えるアカデミー組織は、どのような強化を行ない、若き才能を見い出しているのか。下部組織のキーマンと言える3人にその舞台裏、新たに取り入れているスカウト活動を含めた今後の展望を語ってもらった。
――◆――◆――
振り返れば、育成の名門・横浜やFC東京らに挟まれ、川崎の下部組織が注目されることは少なかったように映る。しかし、三好康児(現アントワープ/ベルギー)、板倉滉(現フローニンヘン/オランダ※マンチェスター・シティからレンタル)がトップ昇格を果たした15年頃から風向きが変わり始めている。
17年には田中碧が昇格し、18年には阪南大を経て脇坂泰斗が入団。ふたりは現在のチームの主軸を担う。さらに同18年には将来のエースと期待される宮代大聖と高校3年時にプロ契約を結び、今季は筑波大を経由して三笘薫が戻ってきた。他クラブも羨む人材を輩出していると言えるのだ。
「ひとつのキッカケは06年のジュニアの立ち上げですよね」
そう語るのは現在アカデミーダイレクターを務める後藤静臣だ。クラブはこの年、小学生を対象としたジュニアチーム(U-10、12)を設立。その一期生が三好と板倉であり、ジュニアユース(U-13、15)、ユース(U-18)へとより有能な人材を供給する仕組みを整えた。
そしてもうひとつの転機が12年の風間八宏の監督就任だ。風間監督に率いられたトップチームが志向したのは“止める・蹴る”をベースとした技術力を活かしたサッカー。これをクラブのアイデンティティにしようと庄子春男GMの号令の下、アカデミーの方針を固めたのだ。
「育成チームの指導者も麻生(トップチームの練習グラウンド)に行って風間さんにノウハウを教えてもらいました。クラブ全体がひとつになって進もうと。あそこが大きな契機でしたね」(後藤)
果たしてクラブの土台を支えるアカデミー組織は、どのような強化を行ない、若き才能を見い出しているのか。下部組織のキーマンと言える3人にその舞台裏、新たに取り入れているスカウト活動を含めた今後の展望を語ってもらった。
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振り返れば、育成の名門・横浜やFC東京らに挟まれ、川崎の下部組織が注目されることは少なかったように映る。しかし、三好康児(現アントワープ/ベルギー)、板倉滉(現フローニンヘン/オランダ※マンチェスター・シティからレンタル)がトップ昇格を果たした15年頃から風向きが変わり始めている。
17年には田中碧が昇格し、18年には阪南大を経て脇坂泰斗が入団。ふたりは現在のチームの主軸を担う。さらに同18年には将来のエースと期待される宮代大聖と高校3年時にプロ契約を結び、今季は筑波大を経由して三笘薫が戻ってきた。他クラブも羨む人材を輩出していると言えるのだ。
「ひとつのキッカケは06年のジュニアの立ち上げですよね」
そう語るのは現在アカデミーダイレクターを務める後藤静臣だ。クラブはこの年、小学生を対象としたジュニアチーム(U-10、12)を設立。その一期生が三好と板倉であり、ジュニアユース(U-13、15)、ユース(U-18)へとより有能な人材を供給する仕組みを整えた。
そしてもうひとつの転機が12年の風間八宏の監督就任だ。風間監督に率いられたトップチームが志向したのは“止める・蹴る”をベースとした技術力を活かしたサッカー。これをクラブのアイデンティティにしようと庄子春男GMの号令の下、アカデミーの方針を固めたのだ。
「育成チームの指導者も麻生(トップチームの練習グラウンド)に行って風間さんにノウハウを教えてもらいました。クラブ全体がひとつになって進もうと。あそこが大きな契機でしたね」(後藤)
トップチームからアカデミーまで一貫した強化、“川崎スタイル”の継承を行なう。その考えはスタッフの配置にもよく表われている。育成部長の山岸繁は次のように説明する。
「トップが止める・蹴るを大事にするサッカーをやっているなかで、アカデミーが違うサッカーをやっていたら、トップに人材を上げられない。そこは後藤が中心になって指導をしてくれていますが、うちの強みはコーチ陣がトップチームでプレーしていた元選手や育成に長く関わってきた人材が多いこと。
テーマは一体感。“フロンターレ魂”ではないですが、そういう精神を分かっている人が多いと思うんです。そしてトップチームのコーチがアカデミーに回ったり、アカデミーのコーチがトップで指導をしたり配置転換を行なう。良い循環が生まれていると感じます」
アカデミースタッフの顔ぶれを見渡せば、長橋康弘(U-18監督)、佐原秀樹(U-18コーチ)、浦上壮史(U-18GKコーチ)、今野章(U-15コーチ)、矢島卓郎(U-12コーチ)らOBがズラリと並び、昨年限りで現役を引退した黒津勝もスクール・普及コーチに就任。人材の循環という点ではU-18のコーチだった寺田周平が今季からトップチームのコーチへ回り、入れ替わる形で久野智昭がU-18のコーチへ。トップとアカデミーで考えを共有し、指導体形も統一する。それは理想的な強化体制に映る。
「トップが止める・蹴るを大事にするサッカーをやっているなかで、アカデミーが違うサッカーをやっていたら、トップに人材を上げられない。そこは後藤が中心になって指導をしてくれていますが、うちの強みはコーチ陣がトップチームでプレーしていた元選手や育成に長く関わってきた人材が多いこと。
テーマは一体感。“フロンターレ魂”ではないですが、そういう精神を分かっている人が多いと思うんです。そしてトップチームのコーチがアカデミーに回ったり、アカデミーのコーチがトップで指導をしたり配置転換を行なう。良い循環が生まれていると感じます」
アカデミースタッフの顔ぶれを見渡せば、長橋康弘(U-18監督)、佐原秀樹(U-18コーチ)、浦上壮史(U-18GKコーチ)、今野章(U-15コーチ)、矢島卓郎(U-12コーチ)らOBがズラリと並び、昨年限りで現役を引退した黒津勝もスクール・普及コーチに就任。人材の循環という点ではU-18のコーチだった寺田周平が今季からトップチームのコーチへ回り、入れ替わる形で久野智昭がU-18のコーチへ。トップとアカデミーで考えを共有し、指導体形も統一する。それは理想的な強化体制に映る。