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マドリーの構造的欠陥を見抜いたグアルディオラの「奇襲的采配」【小宮良之の日本サッカー兵法書】

カテゴリ:連載・コラム

小宮良之

2020年08月11日

グアルディオラが狙い撃ちにした選手は?

シティに狙い撃ちにされたカゼミーロ。リーガ制覇には大きく貢献したが…。(C) Getty Images

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 マドリーは、臆したようなポゼッションで、逆に弱みを突かれてしまった。その点、ヴァランヌはシーズンワーストのプレーだったと言える。1点目だけでない。2点目も単純に裏に蹴られたボールの処理を誤り、バックパスを奪われているのだ。

 そしてグアルディオラが狙い撃ちにしたのは、ソリッドなマドリーの象徴とも言えるカゼミーロだった。

 カゼミーロは、バックラインの前の守備のフィルターとして、ジネディーヌ・ジダン監督から全幅の信頼を受ける。彼が中央部を分厚く守ることで、堅守カウンターが成立。リーガ優勝の殊勲者の一人だ。

 しかし主導権を握ろうとするチームで、カゼミーロは凡庸なMFである。味方がプレッシングを受ける中、なす術がなかった。フォデンにコースを断たれると、ピッチから消えた。結果、トニ・クロース、もしくはルカ・モドリッチがバックラインまで下がったが、攻め手は減った。カゼミーロは無力化され、あまつさえ、相手の決定機につながるパスミスまでした。

袋小路に追い込んだのは、グアルディオラの知略である。

文●小宮良之

【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月には『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たした。
 
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