D・ヴィエイラの負傷交代以降に課題が
戦術の使い分けは改善されたが、確かに城福監督の言うとおり後半の出来に課題はあった。まだパーフェクトとは言い切れない。
原因をひとつ挙げるならD・ヴィエイラの51分の負傷交代だろう。1トップにポストプレーヤーがいるとかなりポゼッションが機能した一方で、永井龍に交代した以降は最前線でボールが収まらず、守備の時間が増えた。
同じニッパツ三ツ沢球技場での試合をふと思い返す。昨季の26節・横浜戦だ。「みんながボールを大切にしようとしている分、そこまで守備だけじゃなくストレスがなくなった」(野上結貴)ことが要因で11試合負けなしと好調を維持して4位に浮上し、勝点2差で3位の横浜に挑んだ。
D・ヴィエイラとレアンドロ・ペレイラ(今季の横浜FC戦はコンディション不良で欠場)を負傷で欠いたなか、1トップに起用されたのは渡大生(現大分)。永井と同じく動き出しが得意なFWだが、なかなか最前線でボールを収められず、加えてチームも彼を活かそうと最終ラインの裏を狙い過ぎて攻め急ぎ、歯車が狂って0-3で完敗した。その後、横浜は波に乗って優勝し、一方で広島は6位に終わった。
原因をひとつ挙げるならD・ヴィエイラの51分の負傷交代だろう。1トップにポストプレーヤーがいるとかなりポゼッションが機能した一方で、永井龍に交代した以降は最前線でボールが収まらず、守備の時間が増えた。
同じニッパツ三ツ沢球技場での試合をふと思い返す。昨季の26節・横浜戦だ。「みんながボールを大切にしようとしている分、そこまで守備だけじゃなくストレスがなくなった」(野上結貴)ことが要因で11試合負けなしと好調を維持して4位に浮上し、勝点2差で3位の横浜に挑んだ。
D・ヴィエイラとレアンドロ・ペレイラ(今季の横浜FC戦はコンディション不良で欠場)を負傷で欠いたなか、1トップに起用されたのは渡大生(現大分)。永井と同じく動き出しが得意なFWだが、なかなか最前線でボールを収められず、加えてチームも彼を活かそうと最終ラインの裏を狙い過ぎて攻め急ぎ、歯車が狂って0-3で完敗した。その後、横浜は波に乗って優勝し、一方で広島は6位に終わった。
城福体制は3年目となり、選手間の連係は向上して戦術も成熟し、完成度の高いチームになった。今季に導入した新戦術オプションのショートカウンターも、ポゼッション一辺倒では相手に対策されるので、たとえ使い分けに時間がかかっても、成長のための良いチャレンジだろう。
しかし、本格的に優勝を狙えるチームになるためには、やはりサブの力が不可欠だ。横浜FC戦ではL・ペレイラの欠場もあって先発した東俊希に多くの決定機があったものの、どれも決め切れなかった。いくら森島のゴールをアシストしたとはいえ、サブ組がチャンスを得た際にゴールという結果を残せないと、チーム内の競争力は高まらない。
控えメンバーの台頭は、過密日程の今季はなおさら重要だ。3バックは野上、荒木隼人、佐々木翔で固定しているが、さすがに連戦が続くと疲労が溜まっているように映る。実際にフレッシュな状態で臨んだ鹿島との開幕戦、神戸とのリーグ再開初戦、横浜FC戦はどれも無失点だった一方で、連戦で身体を酷使したなかで戦ったその他のゲームでは、クリーンシートを達成したのは4節の鳥栖戦だけだった。
中止となった名古屋戦もどこかに組み込まれることを考えれば、今後はより過酷な過密日程が続く。だからと言って、伝統的に補強ばかりに頼るクラブではないため、“お金を積んで”有事を乗り越える選択肢はたぶんない。これまでも上手くいかない時には、例えば大迫敬介や荒木隼人、森島司など、サブで燻っていた選手が覚醒し、停滞感を打破した。
戦術の引き出しを増やして組織のレベルアップを図るなか、今季に“総力戦で”戦ったうえで成長できるか――。チームとしての真価を発揮できれば、きっとのこの先に明るい未来が待っているかもしれない。
取材・文●志水麗鑑(サッカーダイジェスト編集部)