【ヘスス・スアレスの視点】日本代表監督に求められる資質と適任者[後編]

カテゴリ:日本代表

小宮良之

2015年02月16日

リージョならば日本の持ち味を最大限に引き出せる。

名将グアルディオラも師事するホアンマ・リージョ。日本の特長を最大限に引き出せる指揮官だと、スアレス氏も断言する。 (C)Getty Images

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 その柔軟さで推薦したいのは、エルチェを指揮するフラン・エスクリバ(49歳)だ。監督の経歴としては国際レベルにはないが、仕事のクオリティは高い。エスクリバはキケ・フローレスの懐刀として知られ、戦術的な応用力に優れる。エルチェを率いて1年目で1部昇格に導き、2年目は残留。特筆すべきはHUMILDAD(謙虚さ)で、この成功にもまったく驕ったところがない。

 エスクリバならば、ソリッドなディフェンスを目指しつつも、日本の攻撃的特長が出せるだろう。ブラジル・ワールドカップでの日本代表に足りなかった、守りに強い選手を発掘することもできるかもしれない。人材がいないわけではないのだ。

 
例えば長谷部誠は、(日本人選手としては珍しく)どこで流れを断ち切るかをよく心得ている。コンフェデ杯のブラジル戦でも、長谷部だけはネイマールを削っていた。その彼が90分間戦えなかったことが、ワールドカップでの惨敗につながったと思っている。

 日本人は守備の部分でまだ"優しすぎる"。私は攻撃的フットボールを愛するが、ボールサイドへの寄せの強度は欠かせない。そこで自由を与えたら、世界トップレベルでは勝負にならないからだ。コンタクトプレーの向上は急務だろう。


 そして、日本の持ち味を最大限に引き出せる監督という視点に戻れば、とっておきの候補がいる。名将ジョゼップ・グアルディオラに最も影響を与えた監督、ホアンマ・リージョ(49歳)である。


 日本がバルサをひとつの理想としているのなら、リージョほどの人材を私は知らない。なにしろ、グアルディオラが「GMとして監督に連れてくるならリージョ」と断言していたほどである。

 選手としての経歴はないが、16歳で指導者になって20代にして1部昇格を経験。サラゴサ、レアル・ソシエダ、アルメリアなどを指揮し、監督としては30年以上のキャリアがある。めぼしいタイトルは獲っていないが、そのポテンシャルはグアルディオラが学んだ事実だけでも伝わるだろう。


 私は断然、リージョを日本代表監督に推す。2014年まではコロンビアのミジョナリオスを率いていたが、今の彼はフリーである。


 日本人は日本代表の力を信じるべきだろう。アギーレ政権のGKコーチだったリカルド・ロペスは、「日本人はマリーシアが足りない」と指摘していたが、私はその意見には与しない。世界王者になったスペイン代表も、ドイツ代表も、選手が武器としていたのは狡さではなかった。圧倒的な技術と攻守のバランスとコンビネーションこそが、世界制覇の決め手だった。


 私は、日本人選手には素晴らしい技術と特長があると考えている。それは誰が監督になろうとも、変わるモノではない。

ヘスス・スアレス/現役時代はガリシア州1部リーグでプレー。引退後、監督養成学校でF・バスケス(前デポルティボ監督)に師事し、指導者の道へ。州リーグのクラブで監督を務めた後、『オール・ヨーロッパ』誌に寄稿するなど、ジャーナリストとして活躍。指導者的立場からの理論には定評がある。


 

エルチェで3シーズン目を戦っているエスクリバ。監督としての経歴は国際レベルにないが、柔軟な采配には定評がある。 (C)Getty Images

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