【連載】小宮良之の『日本サッカー兵法書』 其の五 「代表監督交渉の舞台裏」

カテゴリ:特集

小宮良之

2015年02月12日

世界で名の知れた名将は、たいてい年俸3億円以上。

選定基準をクリアし、年俸条件の合う監督は限られる。日本協会としても、難しい交渉を迫られているのは間違いない。(C)Getty Images

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 日本代表監督の契約交渉は、一筋縄ではいかない。近著『おれは最後に笑う』で原博実技術委員長(当時)と霜田正浩技術委員(当時)のふたりを主役にしたノンフィクションを描いているが、まさに“交渉戦”の緊張感があった。サインするまでなにが起こるか分からない。
 
 技術委員会の選定基準については、そこで細かく記している。
●高いレベルの指導歴(日本よりもレベルが高い国での代表監督か、クラブでの指導実績があること。ワールドカップやチャンピオンズ・リーグ、コパ・リベルタドーレスなどでの経験があればさらに良い)
●日本の良さを活かせる(組織力、団結力、俊敏性など日本の良さをうまく活かせる指導)
●アジアの戦いに対応できて、アジアの文化、伝統を理解してくれる人(地域の広さやアジアの大会カレンダー)
 
 などなど、こうした基準をクリアできる監督はまず限られる。札束を積み重ねればそれも不可能ではないが、日本代表監督は200万ユーロ(約2億8000万円で、アルベルト・ザッケローニ監督はこの前後か)がひとつの基準。年俸条件はネックになる。
 
 世界トップクラスの監督とは、いかほどの年俸を稼いでいるのだろうか。世界最高年俸の監督は、バイエルン・ミュンヘンを率いるジョゼップ・グアルディオラで、20億円超とも言われる。チェルシーのジョゼ・モウリーニョ、レアル・マドリーのアンチェロッティらも10億円以上の収入を受け取っている。いまだに代表監督候補に名前の挙がるアーセン・ヴェンゲルも、アーセナルで10億円以上を稼ぐ大身。彼が日本に来るとしたら、もはや慈善事業に近いだろう。
 
 世界で名の知れた監督(40~50人)は、たいてい3億円以上の年俸(もしくは査定)を受けている。この事実をまず知るべきだ。
 
 もっとも、代表監督はクラブチームの監督より年俸は低い。ブラジル・ワールドカップの最高年俸監督はロシアを率いたファビオ・カペッロの11億円だったが、ザッケローニは出場32か国でトップ10に入る高給取りだった。ベスト16に入ったギリシャのフェルナンド・サントス、ベルギーのマルク・ヴィルモッツらに至っては1億円以下。こうした例を見れば、交渉の余地はある。
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