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【U-20激闘譜】「日本の1つの指標に」黄金世代の凄さとは何だったのか? 生き証人・播戸竜二の回想録

カテゴリ:連載・コラム

元川悦子

2020年06月30日

アジアユース決勝で敗れた韓国のイ・ドングッと朝まで語り合ったことも励みに

黄金世代のU-20代表立ち上げ期に行なわれた97年のSBS杯。小野(前列中央)、遠藤(同左から2番目)、本山(同右端)、高原(後列右から2番目)らの顔が並ぶ。写真:サッカーダイジェスト写真部

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 特に大きかったのが、2戦目のイラク戦。高原の先制弾に続いて、播戸が豪快なボレーシュートを突き刺したことで、チームは停滞感を吹き飛ばす。この試合を6-2で勝利した日本は勢いに乗り、続くカタールを4-0で撃破する。宿敵・韓国には小野と本山が徹底マークされ、1-2で苦杯を喫したものの、グループを2位通過。本大会出場の懸かる準決勝・サウジアラビア戦に挑んだ。

 天王山は本山の先制点が早い時間に生まれ、日本が一気に突き放すかと思われたが、最終ラインのミスを突かれて前半のうちに2失点。1-2で折り返すというまさかのシナリオを強いられた。それでも実力派集団はまったく焦ることなく冷静に攻め込み、高原が同点弾をゲットする。そのシュートシーンはいったんGKに弾かれ、播戸が身体ごと押し込んだが、記録上は前者のゴールとなった。そこから絶対的エースは2点を重ねてハットトリックを達成。サウジを4-2で突き放して、首尾よく切符を手に入れた。

 決勝・韓国戦はまたも1-2で破れたが、播戸は稲本のタテパスに反応して抜け出す形から一矢報い、タレント集団の一員として確固たる地位を築くことに成功している。

「自分はあの大会が初めての国際大会。世界まで残ろうと必死で、その気持ちだけで戦っていた記憶がある。決勝の後、同じホテルに泊まっていた韓国のイ・ドングッ(全北現代)たちと朝まで語り合ったけど、そういう経験も励みになったし、もっと上に行かなアカンって気持ちにさせられたよね」と播戸はしみじみと言う。それだけ黄金世代の中で生き抜いていくのは難しいことだったのである。

 実際、日本サッカー協会の期待値も高く、この最終予選で優勝を期待していた。だが、韓国に2連敗したことを問題視。清雲監督はこの後、いきなり解任されてしまう。チェンマイを訪れ、黄金世代の才能に惚れ込んだトルシエが「自分が指揮すれば世界で勝てる」という確信を持ち、監督就任を強烈にアピールしたことも大きかったが、U-20世代の監督が途中交代するというのは滅多にない出来事。播戸は「勝負の世界の厳しさ」を痛感させられたという。

「清雲さんは僕らを締め付けることなく意見を聞いてくれたし、長所を生かそうとしてくれていた。自分はすごくリスペクトしていたし、やりやすい監督でした。それがいきなり『監督が代わる』と聞いた時には驚いたけど、プロ選手としては受け入れるしかない。世界大会に出るために、またゼロからアピールしないといけないと思いました」
 
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