【岩本輝雄の英雄列伝|レオナルド編】「それでは遅い」“貴公子”から受けた数々の恩恵

カテゴリ:連載・コラム

岩本輝雄

2020年05月05日

自分のチャンスでもパスを選択した

長居スタジアムで行なわれた96年のオールスターでは、レオナルド(9番)やストイコビッチ(10番)らと同じチームに(岩本氏は5番)。(C)J.LEAGUE PHOTOS

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 96年のオールスターでは、レオナルドと同じチームになった。ホテルが一緒で、そこで話をさせてもらったなかで、僕のプレーについてアドバイスをしてもらったんだよね。

「テル、君はサイドでパスをもらう際、トラップして、蹴る直前に一回触って、キック。ワン、ツー、スリーのリズムで蹴ることもあるけど、それでは遅いし、相手に読まれる。そのリズムだと、相手から寄せられるし、敵の守備陣形も整って、受け手もマークにつかれてしまう。蹴るタイミングは、ツーのほうがいい。最初のトラップで、すぐ蹴れるところにボールを置くイメージでやったほうがいいよ」

 僕としては、トラップには自信があったし、状況によってはツーのタイミングでキック、そのスピード感も意識していた。ただ、マイボールにして、ルックアップして、味方がどこにいるかを確認してから蹴りたくて、そういうリズムになっていた部分はたしかにあった。蹴る直前に「チョン」と触るのも、ある意味、クセでもある。

 そのクセをよく見ていてくれたんだなと思うと……素直に嬉しかった。ちなみに、そのオールスターでレオナルドが履いていたスパイクをもらったんだよね(笑)。サイズも26・5センチで一緒。もちろん、そのスパイクを履いて試合に出たよ。

 僕たちのチームにはレオナルドがいて、しかもストイコビッチも! ふたりの競演に、スタンドも盛り上がりまくり。同じピッチに立てた僕としても、至福の時間だった。ドリブルで攻め上がって、シュートを打てば決められる自信があった場面でも、レオナルドへのラストパスを選択。自分のチャンスの時、普段なら絶対にしないけど、その時は引き立て役に回った。でも、レオナルドはシュートを外したけどね(笑)。

 あの頃は、レオナルドやストイコビッチだけでなく、ジーコ、リネカー、リトバルスキー、スキラッチ、エムボマなど、Jリーグにはワールドクラスの助っ人が本当にたくさんいた。同じ時代に現役としてプレーできた僕にとっても、大きな財産だよ。

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