【岩本輝雄】あの“伝説のFK”をプレーバック。「助走した時に前を見たら…」

カテゴリ:連載・コラム

岩本輝雄

2020年04月22日

「先発を外されて、正直、ムカついていた」

途中出場でピッチに立った市原戦、FKのチャンスを得ると、迷いなく左足を一閃。強烈な一撃がゴールネットに突き刺さった。(C)J.LEAGUE PHOTOS

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 あの伝説のFKの舞台裏を当事者が明かす――歴代最多のFK弾を記録する中村俊輔(横浜FC)、2001年のリーグ優勝を鮮やかな一撃で手繰り寄せた小笠原満男(元鹿島アントラーズ)、予測不可能なブレ球を放つ三浦淳寛(元神戸など)と、錚々たる顔ぶれが並ぶが名手の系譜に、岩本輝雄もその名を連ねるのは間違いない。

「テル」の愛称で親しまれ、日本代表では10番を背負ったレフティが“ぶち込んだ”歴史的なゴールは、2003年10月18日、仙台スタジアム(現ユアテックスタジアム仙台)で行なわれたベガルタ仙台対ジェフユナイテッド市原戦の55分に生まれた。

 ゴールに向かってほぼ正面、距離にして約40メートル。当時はベガルタ仙台の一員だった31歳のテルは、どんな狙いで、どんな想いであのFKを決めたのか。本人に改めて振り返ってもらった。

――◆――◆――

 ちょうど監督が代わった時期で、それまでレギュラーだった自分は、その試合、ベンチスタートだった。あの時のジェフは監督がオシムさんで、すごく強くてね。前半もベガルタはけっこう押されていた。
 
 試合前日にはセットプレーの練習もしていて、自分は壁に入る役目。もしかしたら、ちょっと不貞腐れていたかも(笑)。強化部長からは「テル、ちゃんと聞いておけよ。明日、もしかしたら出るかもしれないんだから」とも言われて。たしか、遠目からのFKは、味方に合わせる作戦だったはず。

 でも自分としては、もうワガママでしかないけど(笑)、強化部長には「チャンスがあれば、思いっきり直接狙いますから!」とか言って。選手としては絶対にダメだし、真似してほしくないけど、もう来たボールは全部シュートしてやろうとも思っていた。

 こういう言い方が良いか悪いかは、分からないけど……まあ、良くはないんだろうけど、やっぱり先発を外されて、正直、ムカついていた。監督がベストだと思って選んだ11人。それはもちろん尊重していたし、自分の代わりにスタメンで出た選手に対しても、頑張ってほしいと思っていた。でも、とにかくめちゃくちゃ悔しかった。ピッチに立って結果を出すのがプロだし、最終的にそのシーズンはJ2に降格してしまうんだけど、なんとかチームの力になりたかった。その想いが強かったね。

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